飲食店の開業に必要なものを徹底解説!抜かりない準備で成功を掴む
飲食店の開業にあたっては、一般的に半年以上の準備期間が必要と言われています。飲食店の開業に欠かせない資格や手続き、資金調達について分かりやすく解説します。
また、お客様の利便性を考えた店舗運営のために、検討したいキャッスレスサービスについても紹介します。
目次[非表示]
- 1.飲食店開業前の4つのチェックポイント
- 1.1.必要な資格を取得しているか
- 1.2.開業資金の見通しが立っているか
- 1.3.助成金や補助金が利用できるか
- 1.4.事業計画書の準備はできているか
- 2.飲食店の開業には半年程度の準備期間が必要
- 3.飲食店開業に必要な資格とタメになる資格
- 3.1.飲食店開業に必須な2つの資格
- 3.2.「食品衛生責任者」
- 3.3.「防火管理者」
- 3.4.飲食店開業にプラスになる資格
- 4.飲食店の開業に必要な6つの手続き
- 5.飲食店開業を成功させる秘訣
- 5.1.お店のコンセプトを設定する
- 5.2.開業に適した物件を探す
- 5.3.お客さまに選ばれるお店を目指す
- 6.飲食店開業の際に検討したいキャッシュレスサービス
- 7.まとめ
飲食店開業前の4つのチェックポイント
飲食店を開業しようと思ったら、まずは次の4項目についてチェックしてみましょう。飲食店の開店準備は見切り発車ではなく、先の成功を見据えて進める必要があります。
- 必要な資格を取得しているか
- 開業資金の見通しが立っているか
- 助成金や補助金が利用できるか
- 事業計画書の準備はできているか
各ポイントについて詳しく紹介します。
必要な資格を取得しているか
まずは、飲食店の開業に必要な資格の取得について説明します。飲食店を開業するためには、次の2つの資格取得が必須です。
- 食品衛生責任者(食品衛生協会)
- 防火管理者(消防署)
上記の有資格者がいないと店舗の運営が認められません。入れ替わりのあるスタッフではなく、店舗の運営責任を持つオーナーが取得しておいたほうが無難です。
その他、必須ではありませんが、他店との差別化に有効な関連資格もあります。詳しい概要は、「飲食店開業に必要な資格とタメになる資格」の章で紹介します。
開業資金の見通しが立っているか
飲食店を開業する場合、規模の大きくない個人店であっても一般的に700〜1,200万円程度の資金がかかります。費用の内訳は、店舗の家賃や保証金、外装・内装工事、調理器具の購入などです。
十分な資金が確保できていない状態で店舗をオープンさせてしまうと、売り上げが軌道に乗るまでに体力が尽きてしまうかもしれません。飲食店の開業にあたっては、次に紹介する助成金や補助金などを利用できる場合もあります。
開業資金についての正しい知識と見通しを持つことは、飲食店開業を成功させるうえで欠かせないポイントです。
助成金や補助金が利用できるか
飲食店の開業には、まとまった資金が必要になるため、利用できる助成金や補助金制度があれば活用しない手はないでしょう。実際に飲食店の開業にあたって、すべての資金を自分で負担できる経営者は少なく、自己資金と借入や助成金、補助金を利用するのが一般的です。
助成金や補助金は、国や自治体からの援助であり、融資のように返済する必要がありません。飲食店開業で受けられる助成金・補助金には、「地域創造的起業補助金」、「小規模事業者持続化補助金」、「キャリアアップ助成金」などがあります。
助成金や補助金は、支給の条件や対象者が設定されているため、自分の店舗が該当するかどうか事前に確認しておきましょう。
事業計画書の準備はできているか
事業計画書とは、これからどのように事業を運営していくのかを示す計画書です。事業内容や企業の戦略・収益見込みなどを記載します。事業計画書は、飲食店を開業するにあたり融資を受ける際にも使用します。
今後の計画戦略を立て、開業に向けて進めていくために、事業計画書の作成は外せないステップです。「日本政策金融公庫」のサイトで創業計画書記入例もご確認いただけます。
飲食店の開業には半年程度の準備期間が必要
飲食店の開業準備には、半年程度の時間が必要と言われています。大まかな時間軸と準備内容は次のとおりです。
- 6ヵ月前:事業計画書の作成、必須資格の取得
- 5ヵ月前:物件探し、資金計画の作成
- 3ヵ月前:融資や助成金・補助金の申請
- 1ヵ月前:各種申請や届け出
まずは、開業の基盤となる事業計画書に取り組むとともに、後々焦らないように必須資格の取得を進めましょう。5ヵ月前には飲食店を開業する物件の目途をたて、必要となる資金の準備を始めます。
資金の融資を受けたり、助成金・補助金を申請したりする場合は、開業2ヵ月前までを目安にして資金調達を進める必要があります。1ヵ月前になったら、飲食店開業に必要な申請や手続きを行い、開業準備は完了です。
飲食店開業に必要な資格とタメになる資格
飲食店の開業にまつわる資格は、必須資格とその他の資格に分けられます。必須資格は取得しなければ開業できないため、余裕を持って準備しましょう。
また、必須ではありませんが、品質向上やコストダウンなどが期待できる資格もあるため、あわせて紹介します。
飲食店開業に必須な2つの資格
飲食店開業の必須資格は下記の2つです。
- 食品衛生責任者
- 防火管理者
この2つの資格の概要と取得方法をご説明します。飲食店の開業準備のスケジュールに合わせて、余裕を持って取得を完了しましょう。
食品衛生責任者は、食品衛生協会主催の講座を受講して資格を取得します。防火管理者の資格は、管轄の消防署が実施している講習の予約・参加が必要です。
「食品衛生責任者」
食品営業を行う場合に必須となる資格です。食品衛生責任者の有資格者を店舗に必ず1人は配置しなければなりません。食品衛生責任者は「食品衛生責任者養成講習会」の受講証明として発行される終了証が資格証明となります。
各都道府県で実施される講習会は、講習期間は1日、参加費が10,000円程度です。ただし、調理師、栄養士の資格を持っている方には資格が交付されます。
「防火管理者」
厳密にいえば、収容人数の少ない個人経営の飲食店であれば防火管理者の資格は必要ありません。収容人数が30人以上の店舗の場合に、防火管理者の資格が必須となります。
防火管理者の資格は、店舗の規模や状況によって次のように分けられます。
- 甲種防火管理者(延床面積300平米以上)
- 乙種防火管理者(延床面積が300平米未満)
防火管理者講習の受講期間は、種別によって1~2日で、必要経費は3,000~5,000円程度の教材代です。
飲食店開業にプラスになる資格
次に必須ではありませんが、あれば飲食店の開業・運営にプラスに働く資格を5つご紹介します。
- ANSAソムリエ:ワインを選定、提供する
- ビアアドバイザー:ビールのコーディネートやアドバイスをする
- 焼酎利き酒師:焼酎の楽しみ方を提案する
- 野菜ソムリエ:野菜や果物の美味しさを伝える
- 和食マイスター:和食を楽しみ魅力を伝える
食やお酒に関する知識が豊富であることが、来店するお客様からの信頼を高めることにもつながり、他店との差別化を図れる可能性があります。
飲食店の開業に必要な6つの手続き
飲食店の開業において、避けては通れない各種申請・届出について解説します。飲食店の開業に必要な手続きは次の6つです。
- 食品営業許可申請
- 個人事業の開廃業等届出書
- 社会保険の加入
- 労災保険の加
- 雇用保険の加入
- 防火管理者選任届
各種申請や届出は、新店舗のオープン1ヵ月前程度から取り掛かるとよいでしょう。それぞれの概要やポイントを紹介します。
食品営業許可申請
食品営業許可申請は、全ての飲食店に提出が義務付けられており、飲食店開業10日前を目安に提出しましょう。食品営業許可申請のためには、必要書類を揃え提出先である保健所に赴きましょう。
申請にかかる料金はエリアや営業形態によって異なりますが、おおよそ16,000円~19,000円です。営業許可申請は、開業の際に1度申請したら終わりではなく、飲食店を営業しながら継続して更新しなければなりません。
個人事業の開廃業等届出書
個人で飲食店を経営する予定であれば、「個人事業の開廃業等届出書」を税務署への提出が必要です。個人事業の開廃業等届出書は、開業届と呼ばれる場合もあります。
必要に応じて「青色申告承諾申請書」もこのタイミングで提出しておくとよいでしょう。青色申告承諾申請書は、確定申告の際に青色申告を考えている場合に必要な手続きです。
社会保険の加入
法人として飲食店で従業員を雇用する場合には、社会保険事務所にて社会保険加入手続きが必要です。個人事業主がスタッフを雇う際には社会保険加入は任意ですが、法人であれば従業員の社会保険加入が求められます。
手続きは、社会保険加入義務が発生してから5日以内に、所轄の年金事務所で速やかに行うことが定められています。
労災保険の加入
社会保険と同様、従業員を雇う場合は労災保険への加入が義務付けられます。職員の雇用から10日以内に労働基準監督署で手続きを行いましょう。
労災保険の加入は、常勤・パート・アルバイト・派遣など労働者の雇用形態に関係なく、1人でも労働者を雇用している事業者は手続きが必要です。短時間労働者が適用されない場合がある雇用保険とは扱いが異なるため注意しましょう。
雇用保険の加入
スタッフを雇用している事業者は、加入条件を満たす従業員の雇用保険の加入手続きをします。雇用保険とは、簡単に説明すると、被保険者が職を失った際に失業等給付金を受け取れるように備えておく制度です。
従業員が正社員の場合は無条件に加入が義務付けられており、バイトやパートなどの非正規雇用者の加入には、週の所定労働時間や雇用期間といった一定の条件があります。
防火管理者選任届
飲食店開業の際に、消防署に提出する書類は次の3つです。
- 防火管理者選任届:30名以上の座席がある店舗の場合必要
- 火を使用する設備等の設置届:火気を使用する場合必要
- 防火対象設備使用開始届:建物の安全性を確保するために必要
防火対象設備使用開始届については、店舗のオープン7日前までに提出できるようにしましょう。
飲食店開業を成功させる秘訣
多くの資金や時間が必要な飲食店の開業を成功に導くためには、準備段階から以下のポイントを考慮する必要があります。
- 店舗のコンセプトを設定する
- 開業に適した物件を探す
- お客さまに選ばれる店舗を目指す
競合がひしめく飲食業界では、ただ出店するだけではなかなか集客が成功しません。お客さまの絶えない店舗にするためのコツを解説します。
お店のコンセプトを設定する
お店選びをするお客さまは、食事のジャンルや味のレビュー、店舗のアクセス、店内のインテリアといったさまざまな点から総合的にお店を評価しています。飲食店を開業する際に、やみくもに始めてしまったのでは他店との差別化もできません。
飲食店においてお店のコンセプト設定は重要です。例えば、駅近で仕事終わりのサラリーマンがターゲットのラーメン屋では「ボリュームがあり回転率よいラーメン屋」というコンセプトもよいでしょう。
一方で同じラーメン屋でも、家族連れが多い施設に開業する場合は、お子さまメニューも充実させて「ラーメンだけじゃないラーメン屋」などが考えられますね。独自のコンセプトの設定が、飲食店の成功には欠かせません。
開業に適した物件を探す
飲食店を開業するには、お店のターゲットに合った物件を選ぶことも大切です。気に入る物件がすぐに見つかるとは限らないため、資金調達の前に物件探しを始めるのも手段の1つです。
お金がないと物件が借りられないと思われがちですが、実際には契約したいと思える物件を仮押さえすることも可能です。自己資金が少ない状態で、開業準備をしなければならない場合は、手付金なしでの仮押さえをオーナーと交渉する必要も出てくるでしょう。
お客さまに選ばれるお店を目指す
お客さまの集まるお店にするには、利用者の利便性を高めることも忘れてはいけません。メニューのオンライン掲載や予約システムの完備、キャッシュレス決済導入などが挙げられるでしょう。
特にキャッシュレス化が進みつつある現在では、キャッシュレス決済によるポイントや割引を求めてお店選びをする方も増えています。利用者の立場にたって、魅力のあるお店を作り上げる努力が求められるでしょう。
飲食店開業の際に検討したいキャッシュレスサービス
将来的にキャッシュレス決済を導入しようと考えているならば、飲食店開業の際に一緒に準備を進めることをおすすめします。キャッシュレス決済のなかでも、自店舗やグループ内で使える独自Pay(ハウス電子マネー)には、 決済情報や入金残高データを活用できるというメリットがあります。
なかでも、店舗独自のPayを発行できる「Value Card」「アララ キャッシュレス」は、店舗にて必要な分だけチャージして利用できるため、クレジットカードの利用には抵抗のあるお客さまにも利用して頂けるハードルが下がります。また、「Value Card」「アララ キャッシュレス」であればポイントの付与や再来店を促す各種キャンペーンを設定することも可能です。
独自Pay(ハウス電子マネー)はその他のキャッシュレス決済と比べて、手数料を抑えて導入できる点も魅力だといえるでしょう。キャッシュフロー的にも、お客さまが事前に入金する流れを取るため、決済前からキャッシュを確保できる安心感があります。
集客から業務の効率化、データ分析まで総合的に店舗運営をサポートしてくれるサービスをお探しであれば、「Value Card」「アララ キャッシュレス」導入をぜひご検討ください。
まとめ
飲食店を開業するためには約半年かけて、事業計画書の作成、必須資格の取得、物件探し、資金調達、各種申請をする必要があります。一般的に飲食店を開業しようとすると、700〜1,200万円程度の資金が必要となるため、助成金・補助金を上手く利用し計画的に準備を行う必要があります。
今回紹介した必須資格の取得や、6つの届け出が飲食店の開業には欠かせません。最後に焦る必要がないように、準備には時間的余裕を持って準備しましょう。
苦労して開業した飲食店を成功に導くには、店舗のコンセプト、適した物件、お客さまに選ばれるサービスの導入も忘れてはいけません。また、自店の資金繰りやお客様への利便性の観点からのキャッシュレス決済も検討の価値があるでしょう。