電子決済とは?特徴やメリット、各種類について解説
近年、政府も後押しする電子決済。電子決済を導入することで、現金のやり取りを減らし、会計の手間を減らせることなどからも導入店舗さまのメリットも多いと言えます。
電子決済には、主に3つの決済方式と5種類の決済手段があります。本記事では電子決済の概要や種類、導入メリットを紹介します。
目次[非表示]
- 1.電子決済とは?
- 1.1.政府や各業界団体が電子決済を推進
- 1.2.電子決済サービスが乱立
- 2.電子決済方式は主に3つ
- 3.電子決済手段は5種類
- 3.1.後払い式の定番「クレジットカード」
- 3.2.前払いと後払いがある「電子マネー」
- 3.3.携帯料金と合わせて支払う「キャリア決済」
- 3.4.即時決済の「ネットバンク決済やデビットカード」
- 3.5.近年増加している「QRコード決済」
- 4.電子決済を導入する3つのメリット
- 4.1.業務効率化や人件費削減につながる
- 4.2.売上単価を上げることができる
- 4.3.新規顧客獲得やリピーターの確保につながる
- 5.電子決済を導入する3つのデメリット
- 5.1.導入費用や手数料が発生する
- 5.2.入金まで時間がかかる場合もある
- 5.3.機械の不具合が発生する可能性もある
- 6.まとめ
電子決済とは?
電子決済とは、直接現金を授受せずに、電子的なデータを用いて決済する方法です。電子決済は、近年スーパーやレストランなどの実店舗やネット通販のようなECサイトで積極的に用いられています。
メディアなどで取り上げられるキャッシュレス決済も、電子決済とほぼ同意義で用いられる用語です。ここから、電子決済やキャッシュレス決済の現状について確認していきましょう。
政府や各業界団体が電子決済を推進
日本のキャッシュレス決済比率は2010年時点で13.2%でしたが、2019年には、そのおよそ2倍の26.8%まで上昇しています。政府や各業界団体が電子決済を推進していることが上昇要因のひとつです。
電子決済を推進する政策として、2019年10月の消費税引き上げ時に、9ヶ月間限定で中小・小規模事業者によるキャッシュレス手段を使ったポイント還元を支援する「キャッシュレス・消費者還元事業」が実施されました。
出典:経済産業省「第一回の議論の振り返り、日本のキャッシュレス決済比率、決済事業者及び国の開示の在り方について、「キャッシュレス」
電子決済サービスが乱立
政府のキャッシュレス政策と並行して、各企業も積極的に電子決済サービスを提供しています。電子決済サービスの一種であるQRコード決済は、携帯キャリア、ECサイト、金融機関、小売業界などさまざまな業種が手掛けており、現状乱立している状況です。
電子決済方式は主に3つ
電子決済は、お客さまが支払うタイミングによって、3つの決済方式に分類できます。また、決済方式ごとにターゲットとなりうる層も異なります。
あらかじめチャージする「プリペイド式(前払い式)」、商品購入後に請求される「ポストペイ式(後払い式)」、即時決済される「デビット式」の特徴を確認していきましょう。
あらかじめチャージするプリペイド式(前払い式)
プリペイド式(前払い式)は、商品やサービスを購入する前にお客さまがその商品の購入に使える電子マネーを購入したり、その商品を販売するお店の電子マネーにチャージしたりする支払い方式です。プリペイド式の電子決済は、与信の確認が不要なことから、幅広い層のお客さまに利用いただくことができます。
ただし、お客さまは事前にチャージしておく必要があるため、その点はデメリットといえるでしょう。
商品購入後にまとめて請求されるポストペイ式(後払い式)
ポストペイ式(後払い式)は、商品やサービスを購入した後に一定期間に使用した代金をまとめて請求される方式です。代表的なものとして、クレジットカードがあります。ポストペイ式は、与信に問題が無ければ、プリペイド式で見られるようなチャージ残高不足で決済されない、ということはありません。
しかし、ポストペイ式は審査を経た後でなければ、お客さまは利用することができません。そのため、専業主婦(主夫)や学生などをターゲットにしている店舗さまに関しては、導入にあたって注意が必要です。
即時決済されるデビット式
デビット式は、お客さまが保有する銀行口座残高内で商品購入やサービス利用できる決済方式です。デビット式はプリペイド式のように事前にチャージする手間を省けます。また、ポストペイ式と比較すると審査が厳しくないため、幅広い層が利用可能な点もメリットです。
ただし、分割払いや口座残高以上の買い物はできません。
電子決済手段は5種類
電子決済はここまでに紹介した3つの決済方式で分類する以外にも、使用するインターフェースに応じて「ICチップ方式」と「QRコード・バーコード方式」に分類できます。ICチップ方式は、決済時にカードなどに埋め込まれたチップを読み込むのに対し、QRコード・バーコード方式は表示されたQRコード・バーコードを読み取って決済する方式です。
また、決済手段によって「クレジットカード」「電子マネー」「キャリア決済」「ネットバンク決済やデビットカード」「QRコード決済」の5種類に分けることができます。
後払い式の定番「クレジットカード」
クレジットカードは、ポストペイ式の代表格です。すでに浸透している電子決済手段ということもあり、2019年時点でキャッシュレス決済比率におけるクレジットカードの割合は24.0%(前年比+2.1%)を占めています。
また、2021年1〜3月にかけて実施された経済産業省のアンケートによると、クレジットカードを導入している事業者さまの割合は55%でした。小売業(食品を除く)、観光業で導入率が高い一方で、小規模事業者は導入率が低い傾向があります。
出典:経済産業省「第一回の議論の振り返り、日本のキャッシュレス決済比率、決済事業者及び国の開示の在り方について」、「キャッシュレス決済 実態調査アンケート集計結果」
前払いと後払いがある「電子マネー」
電子マネーは、交通系ICカードからスーパーや飲食店で独自に発行しているものなどさまざまあります。大手総合スーパーマーケットもキャンペーンなどを実施し、電子マネー発行に積極的です。
電子マネーには、事前にチャージが必要な前払い型とクレジットカードと紐づける後払い型があります。また、チャージが足りなくなった段階で登録したクレジットカードから自動でチャージされるオートチャージ方式であれば、前払い型でも残高不足を気にせずに決済可能です。
2019年時点で電子マネーの決済比率は1.9%で、増加傾向にあります。
出典:経済産業省「第一回の議論の振り返り、日本のキャッシュレス決済比率、決済事業者及び国の開示の在り方について」
携帯料金と合わせて支払う「キャリア決済」
大手通信事業者では、自社の携帯料金と合わせてショッピングやサービス代金を請求するキャリア決済サービスを導入しています。キャリア決済は、残高やチャージ額を気にせずに買い物ができるため、後払い式のひとつといえるでしょう。
お客さまにとって、キャリア決済は対象の回線を利用していれば簡単に利用できる点がメリットです。一方でデメリットには、利用可能額が比較的少ない金額に設定されている点が挙げられます。
即時決済の「ネットバンク決済やデビットカード」
即時決済手段には、ネットバンク決済やデビットカード決済があります。ネットバンク決済とは、ネットショッピング利用時に保有するネット銀行口座の残高内で決済する方法です。
デビットカードは、カードでの支払いと同時に銀行口座から引き落とすカードで、銀行のキャッシュカードでショッピング可能なJ-Debitと、国際ブランド付きデビットカードがあります。
近年増加している「QRコード決済」
近年増加しているのがQRコード決済です。QRコード決済は、店頭に掲示されたQRコードをお客さまが読み取るか、お客さまのスマホで提示したQRコードを導入店舗さまが読み取ることで決済できます。
店頭にQRコードを設置する場合、導入店舗さまは専用端末が不要です。ただし、お客さまがスマホを保有し、QRコードサービスを利用できるように設定しておく必要があります。
2019年時点で、QRコード決済の比率はわずか0.31%です。しかし、2018年と比較すると利用金額は約6倍であることから、急速に伸びつつある決済方法であることが分かります。
2021年の経済産業省の調査では、コード決済を導入していると回答した事業者さまの割合は55%にも上り、クレジットカードの導入率と同水準の結果でした。
出典:経済産業省「第一回の議論の振り返り、日本のキャッシュレス決済比率、決済事業者及び国の開示の在り方について」、「キャッシュレス決済 実態調査アンケート集計結果」
電子決済を導入する3つのメリット
電子決済を導入することで、お客さまと導入店舗さまの双方にメリットが期待できます。お客さまは、電子決済を利用することで、現金を持ち歩かずに手軽にショッピングが可能です。また、電子決済を選択することでポイント還元を受けられるケースもあります。
一方、導入店舗さまは「業務効率化や人件費削減」「売上単価向上」「新規顧客獲得やリピーター確保」などでメリットを感じられるでしょう。
業務効率化や人件費削減につながる
電子決済を導入すると、お客さまがお金を渡し、お釣りを受け取る作業を省けるため、会計にかかる時間が短縮され、レジの待ち時間が減らせます。金銭管理の負担も減るため、結果的に業務効率化につながるでしょう。
現金の管理や銀行に現金を引き出しに行く手間も減るため、人件費の抑制も可能です。電子決済専用の無人レジ導入が進めば、さらに人件費が削減できるでしょう。
売上単価を上げることができる
電子決済で得た情報を活用し、お客さまのニーズを的確に捉えることで効果的なマーケティングが可能です。データを活用し、来客頻度や購買点数を増やす施策を打つことで、結果として全体の売上高アップも期待できるでしょう。
新規顧客獲得やリピーターの確保につながる
日銀に事務局を置く金融広報中央委員会の2020年の調査によると、日常的な支払いの資金決済手段として、二人以上世帯・単身世帯いずれも現金の割合が低下しているのに対し、クレジットカードや電子マネーの割合は上昇しています。つまり、買い物をする際は、現金ではなく電子決済を優先的に利用する人が増えているということです。
電子決済を優先したいお客さまであれば、電子決済を導入した店舗さまに興味を持って来店する可能性もあるでしょう。さらに、電子決済ではポイント還元などのプロモーションも多いことから、リピーターの確保にもつながります。
出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2020年)のポイント 」
電子決済を導入する3つのデメリット
電子決済にはさまざまなメリットがありますが、導入を決める前にいくつかのデメリットがあることも理解しておくことが大切です。
例えば、後払い式の電子決済の場合、手持ちの現金がなくても商品を購入できるため、お客さまは自身の支払い能力を超えて支払いをしてしまう可能性があります。一方、導入店舗さまのデメリットは「導入費用や手数料が発生」「入金までのタイムラグ」「機械の不具合が発生するリスク」といった点です。
導入費用や手数料が発生する
店頭にQRコードを設置するケース以外では、カードリーダなど電子決済に対応した端末を導入しなければなりません。端末導入の方式は、クレジットカードや電子マネーの発行会社と直接契約を交わす方式と、決済代行会社を利用する間接契約を締結する方式の主に2種類です。
また、決済の都度決済手数料が発生します。決済手数料は決済ブランドによって異なるため、導入前にあらかじめ手数料や初期費用がいくらかかるのか把握しておくことが大切です。
なお、2021年1月〜3月に経済産業省が事業者さまに実施した調査では、キャッシュレス決済導入の際の手数料上限は2%台までという回答が全体の8割超を占めました。
出典:経済産業省「キャッシュレス決済 実態調査アンケート集計結果」
入金まで時間がかかる場合もある
現金決済の場合、売り上げが発生するタイミングで、現金が手元に残ります。しかし、電子決済の場合、決済から入金までにある程度の時間が必要なケースが多いです。
売り上げにムラがある店舗や小規模店舗の場合、入金の遅れがキャッシュフローの悪化にもつながりかねません。電子決済を導入する際には、支払いサイクルがどのようになっているのか必ずチェックしておきましょう。
機械の不具合が発生する可能性もある
導入店舗さまの端末に不具合が発生し、電子決済できないことがあります。また、クレジットカード決済やデビットカード決済の場合はカード、キャリア決済やQRコード決済の場合はスマホ端末など、お客さまの決済デバイスに不具合があることで決済できなくなってしまうケースも少なくありません。
業務効率を上げるために電子決済を導入しても、端末操作方法を理解していなければ現金決済以上に手間がかかる可能性がある点に注意しましょう。
まとめ
電子決済を導入することで、業務効率化や人件費削減を図れるうえ、顧客のニーズを把握することで売上アップや新規顧客獲得にもつながります。ただし、販売から入金までに一定の時間がかかるケースもあります。
その点、お店専用の電子マネーを発行できる「Value Card」「アララ キャッシュレス」はお客さまがチャージした金額がすぐに入金されるためキャッシュフローが改善します。また、お客さまの利用履歴データに基づいてキャンペーンを実施できるため、効果的に売上アップへつなげることができます。
電子決済の導入を検討中の店舗さまは、お気軽に「Value Card」「アララ キャッシュレス」へお問い合わせください。