顧客ロイヤルティとは?高める重要性や計測方法、向上施策を徹底解説!
顧客ロイヤリティを高めることにより、新規のお客さまやリピーターの獲得につながります。実際に向上させるためには、注意点やNPSを用いた計測方法を理解しておくことが大切です。
本記事では、顧客ロイヤリティを強化するメリットや計測方法、具体的に向上させるための方法などを紹介します。
目次[非表示]
- 1.顧客ロイヤリティは企業やブランドへの信頼
- 2.顧客ロイヤリティを強化する3つのメリット
- 2.1.お客さまが継続的に利用してくれるようになる
- 2.2.口コミきっかけで新規顧客増加につながる
- 2.3.購入金額増加が期待できる
- 3.顧客ロイヤリティを計測する方法
- 3.1.顧客満足度調査だけでは不十分
- 3.2.有効な指標のひとつがNPS
- 3.3.継続利用意向も重要
- 3.4.LTVで測ることもできる
- 3.5.顧客ロイヤリティに関する注意点
- 3.6.継続的に評価しなければならない
- 3.7.ずさんな対応をしない
- 4.顧客ロイヤリティを高める5つの方法
- 4.1.現状を把握する
- 4.2.KPIを設定する
- 4.3.顧客データを集める
- 4.4.顧客ロイヤリティ向上に効果的なCXを設計する
- 4.5.CXを改善して検証する
- 4.6.効率的な顧客管理ができるツールを導入する
- 5.顧客ロイヤルティを向上させた事例
- 6.まとめ
顧客ロイヤリティは企業やブランドへの信頼
「ロイヤリティ(loyalty)」は英語で、誠実や忠実を意味する言葉です。そして「顧客ロイヤリティ」は特定の企業やブランドを信頼したり、親しみを感じたりすることを指します
出典:goo辞書(プログレッシブ英和中辞典)「loyaltyの意味」
特に、自社商品やサービスで競合する企業が多い場面において、顧客ロイヤリティは非常に重要です。顧客ロイヤリティが高ければ高いほど、数ある商品・サービスの中からお客さまに自社製品を選んでいただく可能性が高まります。
具体的に顧客ロイヤリティが高いお客さまとはどのような方なのか、そして心理面ロイヤリティと行動面ロイヤリティの違いを確認していきましょう。
顧客ロイヤリティが高いお客さまとは
簡潔に述べると、顧客ロイヤリティが高いお客さまとは企業やブランドのファンです。顧客ロイヤリティが高いお客さまであれば、製品価格が他社より多少高くても自社製品を選んでくれるでしょう。
顧客ロイヤリティと関係性の深い法則が、「パレートの法則」です。「パレートの法則」は、マーケット分野で全顧客の上位20%のお客さまが売上金額の80%を担うという意味で使われます。
出典:コトバンク(デジタル大辞泉)「パレート‐の‐ほうそく〔‐ハフソク〕【パレートの法則】」
一製品あたりの価格が高い商品の購入や、同一ブランドでの継続的な購入により上位20%に位置するお客さまは顧客ロイヤリティが高くなる傾向が強いです。ただし、特に企業やブランドに思い入れがなくても、乗り換えが面倒なため商品を購入している可能性もあります。
上位20%に含まれていても実際は顧客ロイヤリティが低いお客さまは、他社のキャンペーンなどをきっかけに、自社から離れてしまう可能性があるため注意が必要です。
心理面ロイヤリティと行動面ロイヤリティの違いとは
顧客ロイヤリティには、「心理面ロイヤリティ」と「行動面ロイヤリティ」の2種類が存在します。顧客ロイヤリティを分析する際には、この2種類を分けて考えてください。
心理面ロイヤリティは、対象の企業・ブランド、商品などに対して好意的な感情のことです。一方、行動面ロイヤリティは対象企業・ブランドの商品やサービスを繰り返し購入・利用する行動を指します。
心理面ロイヤリティと行動面ロイヤリティの度合いに応じて、4種類のお客さまに分類可能です。それぞれ「真のファン」「一時的なファン」「潜在的なファン」「一般消費者」と呼ばれます。
真のファンは、どちらのロイヤリティも高いお客さまのことです。顧客ロイヤリティが最も高いため、マーケティング活動において最重要とされています。
一時的なファンは、心理面ロイヤリティが低い一方で行動面ロイヤリティは高いお客さまです。企業やブランドに対して特段愛着を持っていないため、些細なきっかけで他社へ移ってしまう可能性があります。
潜在的なファンは、心理面ロイヤリティが高く行動面ロイヤリティが低いお客さまです。商品に対して憧れを抱く一方で、手を出しにくい価格であることなどを理由にまだ購入という行動に移せていません。
一般消費者は、どちらのロイヤリティも低いお客さまです。
顧客ロイヤリティを強化する3つのメリット
顧客ロイヤリティが近年重要視されている理由は、自社の業績改善につながるためです。実際、企業側は顧客ロイヤリティを強化することで自社の業績に関するさまざまなメリットを享受できます。
具体的なメリットは、「お客さまが継続的に利用してくれるようになる」「口コミきっかけで新規顧客増加につながる」「購入金額増加が期待できる」の3点です。3つのメリットを詳しく説明していきます。
お客さまが継続的に利用してくれるようになる
顧客ロイヤリティの高いお客さまは、一般的なお客さまに比べて購入回数やサービス利用回数が高くなります。つまり、顧客ロイヤリティを強化することでお客さまのリピート率が上がり、継続的に商品の購入やサービスを利用してくれるようになります。
リピート率とは、どれくらいの割合のお客さまが繰り返し来店したり、自社商品を購入したりしてくれているかを示した指標です。
口コミきっかけで新規顧客増加につながる
顧客ロイヤリティの高いお客さまは、自分が気に入った商品やサービスの良さを他の人にも知ってもらいたいと考えて友人や家族に勧める傾向があります。そして、既存顧客が周囲に紹介することで、新規顧客が増えるきっかけになります。
現代では、SNSをきっかけとした商品購入も多いです。顧客ロイヤリティを強化することで、SNSや口コミが広がり、より多くのお客さまに自社商品を購入してもらえるでしょう。
購入金額増加が期待できる
顧客ロイヤリティが高いと、対象企業やブランドが出している他の商品にも関心が向けられます。結果として、目的の商品以外の購入可能性も高まるため、お客さまが一度に購入する金額(顧客単価)も増加する可能性が高まります。
3つのメリットからわかるように、顧客ロイヤリティを強化すると長期的な自社商品購入、顧客増、顧客単価増につながるため、自社全体の売上高アップが期待できます。
顧客ロイヤリティを計測する方法
顧客ロイヤリティを向上させるために、まず計測手法を理解しておかなければなりません。顧客ロイヤリティには、心理面ロイヤリティのように感情的な側面も含まれているため、主観的なものをそのまま把握する工夫が必要です。
具体的な計測方法として、顧客満足度調査やNPSが挙げられます。それぞれどのような方法なのか確認していきましょう。
顧客満足度調査だけでは不十分
CS(customer satisfaction)とも呼ばれる顧客満足度は、自社の商品やサービスに対してお客さまがどれだけ満足しているかを数値化した指標です。顧客満足度を元に新たなサービスを開発したり、サービスを向上したりすることで自社の利益向上につながります。なお「顧客満足度調査」は、お客さまが商品に満足したかをアンケートなどで確認することによって顧客満足度を把握する手法です。
出典:コトバンク(デジタル大辞泉)「こきゃく‐まんぞくど【顧客満足度】」
顧客満足度調査により、商品に対する顧客の主観的な感情を把握できます。しかし、顧客ロイヤリティの計測方法として顧客満足度調査だけでは不十分です。まず、顧客満足度調査は主に購入時点でのお客さまの感情を把握するため、どれだけ購入時点で満足いただいていても購入後に他社が魅力的な商品をリリースすると自社から離れてしまうかもしれません。また、あくまで商品に対する評価や感想に止まるため、顧客の企業やブランドに対する思いを捉えきれないという側面もあります。
顧客ロイヤリティを計測するためには、サポート体制や購入プロセスのように、商品以外の面も満足しているかを把握する指標が必要です。
有効な指標のひとつがNPS
顧客ロイヤリティの計測において、顧客満足度調査では捉えきれない部分を把握する手法としてNPSが広く利用されています。NPS(Net Promoter Score)とは顧客推奨度のことで、事業成長率や業績との関連性が高い指標です。
NPSでは、お客さまに対象商品やサービスを知人に推奨する度合いを0〜10点の11段階で評価してもらいます。その上で、評価点数によってお客さまを「推奨者(9〜10点)」「中立者(7〜8点)」「批判者(0〜6点)」という3種類に分類します。
「推奨者」は顧客ロイヤリティが高く、口コミやSNSを通じて商品やブランドの良さを広めてくれる可能性が高いです。「中立者」は、対象ブランドや商品に特段愛着を持っているわけではないため、キャンペーンなどをきっかけに競合他社に移る可能性があります。「批判者」は、SNSなどで商品のネガティブなイメージを広める可能性があります。
NPSは調査後に「推奨者」の割合から「批判者」の割合を差し引いた数値です。「推奨者」45%、「中立者」30%、「批判者」25%の場合、NPSは20と算出されます(45%ー25%)。
NPSは計測方法がシンプルで、競合他社との比較もしやすい点がメリットです。ただし、あくまでアンケート結果のため実際に知人に推奨するとは限りません。
継続利用意向も重要
継続利用意向とは、顧客がサービスや製品を今後も利用しようとする意思や意向のことを指します。「この商品(サービス)をまた利用してみたいですか?」という質問を通して顧客の意思を問い、1〜5段階で評価してもらうことでアンケートとして収集します。継続利用意向は顧客の忠誠度やリピート率を示す具体的な指標で、顧客が継続利用意向に高い評価をした場合、そのサービスや製品に対する満足度や信頼が高いと考えられます。リピーターになる可能性が高く、継続的な関係を構築するターゲットとなり得ます。
LTVで測ることもできる
先述したNPSとLTVを組み合わせることで、顧客ロイヤリティを判定できます。LTVとは、Life time valueの略で自社と顧客が取引を開始してから、終了するまでの期間に得られる利益の総額を指します。LTVとNPSがともに高いことは顧客ロイヤリティの高さを示し、ロイヤルカスタマーとしての条件を満たします。
顧客ロイヤリティに関する注意点
顧客ロイヤリティと企業の業績の結びつきは強いです。しかし、いくら顧客ロイヤリティを意識していても上手に活用しなければ業績向上にはつなげられません。
特に注意が必要なことは「継続的に評価しなければならない」「ずさんな対応は顧客ロイヤリティを下げる」という点です。各注意点について、詳しく解説していきます。
継続的に評価しなければならない
たとえNPSを用いたアンケートを実施しても、一度きりで終わると自社で実施した施策に効果があったかどうか確認ができません。効果検証には、継続的に顧客ロイヤリティを評価して過去データとの違いを分析していくことが大切です。
また、より正確な検証を進めるためには「定性評価」ではなく「定量評価」を用います。数量的に比較できない性質の違いに着目して評価を下す「定性評価」に対し、「定量評価」は数量的に比較できるデータのみを用いて物事を評価する方法です。
ずさんな対応をしない
お客さまに対してずさんな対応をしてしまうと顧客ロイヤリティは下がってしまいます。例えば、お客さまの質問に対するレスポンスの遅さなどが挙げられます。
また、お客さまの苦情や要望に対し、何度も同じことを尋ねるのも顧客ロイヤリティを下げることにつながります。問い合わせのあったお客様のたらい回しや、コールセンターや窓口で同じ説明を繰り返すことを避ける工夫が重要です。
顧客ロイヤリティを高める5つの方法
数ある企業や商品の中で自社や自社商品に愛着を持ってもらい、顧客ロイヤリティを高めてもらうためには、お客さまの思い出に残るような感動体験を与えることが必要です。そこで、「現状を把握する」「KPIを設定する」「顧客データを集める」「顧客ロイヤリティ向上に効果的なCXを設計する」「CXを改善して検証する」といった段階を踏んでいきます。
現状を把握する
あらかじめどのように顧客ロイヤリティを評価するかを決めた上で、お客さまへの調査を行います。「定量評価」による調査が原則ですが、選択理由などをコメントしてもらう「定性評価」も加えるとより効果的な分析が可能です。
調査結果から「顧客ロイヤリティの度合い」「属性や商品による違いなど顧客ロイヤリティの特徴や傾向」「何が顧客ロイヤリティ増加に寄与しているか」をチェックし、現状を把握します。
KPIを設定する
自社に適したKPIを設定して定期的に測定していきます。KPI(key performance indicator)とは、企業などの組織において、個人や部門の業績評価を定量的に評価するための指標です。KPIには達成すべき目標に対し、どれだけの進捗がみられたかを明確化できる指標を選択します。
出典:weblio辞書(デジタル大辞泉)「ケー‐ピー‐アイ【KPI】」
また、どのお客さまをターゲットにしていくのか決めるのもこのタイミングです。ターゲットには、自社の重点顧客などを設定します。
顧客データを集める
顧客ロイヤリティを向上させるためには、お客さまの情報を把握することが大切です。顧客データを集める際には、カスタマーサポートツールやCRM(Customer Relationship Management)ツールが役に立ちます。
収集するデータは、利用商品、期間、直近利用日、利用頻度、利用金額などです。独自Pay(ハウス電子マネー)を導入している場合、購入情報と属性情報を結びつけた緻密なデータを手に入れられます。
顧客ロイヤリティ向上に効果的なCXを設計する
前述のステップを踏まえ、顧客ロイヤリティ向上に効果的なCXを設計します。CX(customer experience)とは、お客さまが企業の商品・サービスに接する際の総合的な印象や体験のことです。
出典:goo辞書(デジタル大辞泉)「カスタマー‐エクスペリエンス【customer experience】 の解説」
事前に自社とお客さまの接点を洗い出し、各場面でお客さまがどのように感じ、行動に移したのかを明らかにしておきます。そこで判明した課題をどのように解決するのかを分析しつつ、CXを設計していくことが大切です。
CXを改善して検証する
最後に、ターゲット顧客により適したものになるように、CXを改善していきます。このプロセスでは、実践と検証を繰り返していくことがポイントです。
CX改善に有効な手段のひとつに、電子マネーの導入が挙げられます。電子マネーを導入することで、レジでの小銭の出し入れが不要になりスムーズな決済が可能となるため、顧客満足度の向上につながるでしょう。また、独自Pay(ハウス電子マネー)は現金を事前にチャージするプリベイト式のため、シニア層でも安心して利用いただくことができます。
効率的な顧客管理ができるツールを導入する
顧客ロイヤリティを高めるには、効率的に顧客との関係値を向上させるためのツール活用も有効です。ターゲットにマッチした販促活動やデータ収集を行えるツールを活用することで、顧客をロイヤルカスタマーへと成長させます。例えば顧客の属性や嗜好に合わせたサジェスト広告や、セール時期に合わせてクーポン発行などができるツールが数多く登場しています。ITの力を用いて顧客の管理を行うことで、効率的な顧客ロイヤリティの向上が期待できます。
顧客ロイヤルティを向上させた事例
顧客ロイヤリティの向上は、競合の多い業界において業績をあげるための有効なアプローチの一つです。ここでは、顧客ロイヤリティの向上を追求したことで、競争の激しい業界であっても業績を高めることに成功した企業を紹介します。
湘南美容クリニック(SBCメディカルグループ)の事例
湘南美容クリニックは、美容整形という顧客にとって失敗は許されない厳しい業界で、長年イニシアチブをとっている企業です。2013年から顧客満足度の向上に注力しており、2016年からはNPSを導入し、本格的な顧客ロイヤリティを向上させる取り組みをスタートしました。具体的には、メールアドレスを登録した顧客にアンケートを送信し、顧客満足度の調査を実施しています。
またNPSスコアを店舗単位で算出し、各院の満足度を比較することで、共通した問題の特定と解消に取り組み、さらには切磋琢磨する環境も生まれました。これらの施策により、これまで顧客の感じていた満足度の低い点が改善され、顧客ロイヤリティが向上しました。
チューリッヒ・インシュアランス・グループ の事例
世界有数の保険グループであるチューリッヒ・インシュアランス・グループは、カスタマーエクスペリエンスの改善を通じて、顧客ロイヤリティを向上させた企業です。保険業界は非常に競争が激しく、似たようなサービスを提供する企業も数多く存在しています。そのため、価格で判断されることが多く差別化が難しいという課題がありました。
チューリッヒ・インシュアランス・グループは顧客が継続してサービスを利用するために、WebやITの技術を用いて、顧客ごとにパーソナライズされたサービスの提供に務めました。結果、顧客が保険商品を継続して利用するための信頼性や利便性、サービス品質などが向上し、顧客ロイヤリティも改善されました。
まとめ
顧客ロイヤリティは特定の企業やブランド、商品に対する信頼や愛着のことです。顧客ロイヤリティを強化することによって、自社の業績向上につながります。
独自Pay(ハウス電子マネー)を導入すれば、お客さまの利用履歴を活用して効果的な販促実施が可能です。結果として、お客さまに好印象を抱いてもらい顧客ロイヤリティを強化する効果が期待できます。
再来店の促進に有効な「Value Card」は、独自にキャンペーンを実施できるだけでなく、キャッシュフローの改善にも効果的です。顧客ロイヤリティの強化を検討している企業さまは、この機会に「Value Card」の導入をご検討ください。