
小売業における自社アプリケーションの導入メリットや注意点を徹底解説
小売業において、自社アプリの開発を検討する企業が増えています。中堅や大手企業にとどまらず、なぜ今、アプリを採用する企業が拡大しているのでしょうか。
本記事では、小売業でアプリを導入する企業が増えている理由やアプリの導入メリット、注意点などを詳しく解説します。
目次[非表示]
- 1.小売業界でアプリを導入する企業が増える3つの理由
- 1.1.折込チラシによる宣伝効果の低下
- 1.2.電子チラシサービスの採用
- 1.3.オンラインショップ利用者の増加
- 2.小売業がアプリを導入する5つのメリット
- 2.1. 利便性が増し、より良い買い物体験を提供できる
- 2.2.顧客とのつながりを維持できる
- 2.3.お得情報を提供しやすい
- 2.4.ポイント制度を活用しやすい
- 2.5.キャッシュレス決済に対応できる
- 3.小売業がアプリを導入する際に気をつけたい3つの注意点
- 3.1.アプリ導入の目的を明らかにしておく
- 3.2.アプリの運用体制を整えておく
- 3.3.新規顧客の獲得を期待しない
- 4.顧客視点で使いやすいアプリの5つの特徴
- 4.1.操作性が優れている
- 4.2.動作が軽い
- 4.3.顧客ロイヤリティを高める機能を組み込む
- 4.4.目的との親和性が高い
- 4.5.目的達成までの手順が少ない
- 5.まとめ
小売業界でアプリを導入する企業が増える3つの理由
小売業でアプリの導入が増えている理由は、大きく3つあり「折込チラシによる宣伝効果の低下」、「電子チラシサービスの採用」、「オンラインショップ利用者の増加」です。スマートフォンの普及によってインターネット利用が一般化した現代では、従来の手法では顧客に効果的な訴求が行えません。
そのため、小売業でもアプリを活用した新しいアプローチが求められています。ここでは、小売業界でアプリの利用が増えている3つの理由について解説します。
折込チラシによる宣伝効果の低下
これまでスーパーなどは、特売の宣伝をするために新聞の折込チラシを活用してきました。
新聞の折込は一定の費用負担はあるものの、宣伝効果が高く、店舗周辺の顧客に効率よく情報を発信するためには欠かせない媒体でした。しかし、新聞の購読率が低下している今、チラシの宣伝効果も下がっています。
特に若い世代を中心に十分な情報訴求が行えないことから、アプリの活用に注目が集まるようになりました。
電子チラシサービスの採用
折込チラシの効果が薄れたことで、電子チラシを活用する企業が増えています。チラシ情報をまとめたサイトなどもありますが、自社アプリであれば、他社のチラシに埋もれることなく、自社のチラシを訴求することができます。
オンラインショップ利用者の増加
オンラインショップの利用者が増加していることも、小売業でアプリの利用が増えている理由の1つです。リモートワークの普及なども後押しし外出頻度が減っている昨今、自宅で完結できるオンラインショップを利用する人が増加傾向にあります。
また、オンラインショップは、実店舗のようにお店に行かないと商品在庫の有無が確認できないといったことがないため、顧客側の負担が少ないと言えるでしょう。
小売業がアプリを導入する5つのメリット
小売業がアプリを導入することで得られるメリットは次の5つです。
- 利便性が増し、より良い買い物体験を提供できる
- 顧客とのつながりを維持できる
- 顧客に対し、お得な情報を提供しやすい
- ポイント制度が活用しやすい
- キャッシュレス決済に対応できる
それぞれの内容について紹介します。
利便性が増し、より良い買い物体験を提供できる
アプリを導入することで、顧客にとっての利便性が増し、より良い買い物を体験いただけるようになります。
買い物体験が向上した例としては、ニトリアプリの「手ぶらdeショッピング機能」が挙げられます。「手ぶらdeショッピング機能」は、店舗で購入したい商品のバーコードを読み取るだけで買い物リストを手軽に作成できる機能です。買い物リストはオンラインショップとも連携でき、「オンラインショップで購入する」「店舗宅配受付で清算して宅配の手配をする」のどちらかが選択できます。
顧客にとっては、店内で商品を運ぶ手間が省けるだけでなく、自宅に運ぶ手間も省くことができます。さらに、その場では購入せず、買い物リストの商品を後からオンラインで購入できる点も、今の時代にマッチした買い物といえるでしょう。
参考:ショートタイムショッピングとOMOを実現 自宅用/店舗用タブで最適な体験を届けるニトリアプリを開発支援
顧客とのつながりを維持できる
アプリのプッシュ通知を活用することで、受動的な顧客へも特売情報などを送ることができます。店舗とのつながりを維持でき、売上向上につなげやすくなるでしょう。
また、アプリであれば会員証やポイントサービス、決済・予約システムなど、情報提供以外の用途でも活用できるため、顧客とのタッチポイントを複数用意できます。
お得情報を提供しやすい
アプリによるプッシュ通知によって、顧客はアプリやWEBサイトを起動しなくても、新製品やクーポン、キャンペーンなどのお得な情報を取得できます。プッシュ通知はリアクション率が高いので、効果的な情報発信が可能です。
WEBベースのホームページでは基本的に情報提供しかできないため、全顧客に同じ情報しか提供ができません。しかし、アプリであれば、顧客の閲覧履歴や購買履歴、年齢、性別などの情報を取得できるため、顧客に合わせた最適な情報を発信できます。
ポイント制度を活用しやすい
デジタルでポイント制度を活用できる点も、アプリの大きなメリットです。ポイントカードをアプリと一体化することで、店舗側はカード発行にかかるコストや手間を削減できます。
キャッシュレス決済に対応できる
アプリにキャッシュレス決済機能を加えることができます。キャッシュレス決済を導入することで、店舗側には客単価の向上や販売機会の増加、レジ業務の効率化といったメリットが生まれるでしょう。
なお、バリューデザインが提供するキャッシュレス決済サービスは「店舗専用の電子マネー」の発行から、ポイント機能や会員管理機能など販促に欠かせない機能を備えたサービスです。
既存顧客の囲い込みによる売り上げ向上やキャッシュフローの改善に課題を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。
小売業がアプリを導入する際に気をつけたい3つの注意点
小売業がアプリを導入する際には、以下3点に注意が必要です。
- アプリ導入の目的を明らかにしておく
- アプリの運用体制を整えておく
- 新規顧客の獲得を期待しない
アプリ導入の目的を明らかにしておく
アプリを導入する際は、導入目的を明確にしておくことが大切です。導入目的を明確にしておかないと、期待通りの結果を得ることが難しくなってしまうからです。
例えば、販路を拡大したい場合は「オンラインショップ機能」、顧客満足度を高めたい場合には「ポイント機能」や「クーポン機能」など、課題や目的によって必要な機能が異なります。最大の効果を得るためには、どのような目的を実現したいのかを明確にし、最適な機能を備えたアプリを導入することが不可欠です。
アプリの運用体制を整えておく
アプリを導入する際には、保守・運用体制の構築が欠かせません。
例えば、iOSやAndroidのバージョンアップを受けて、自社のアプリに不具合が生じないかなど、定期的なチェックが必要になります。また、顧客ニーズにあわせて、UIの改修や機能追加などのアップデートもおこなわなければなりません。
これらを適宜実施し、ユーザビリティを向上するために、アプリの保守・運用体制を整えておくことは大変重要です。
新規顧客の獲得を期待しない
アプリを導入しても、アプリによって新規顧客の獲得ができるとは限りません。アプリをインストールしてくれるのは、会員登録をしてくれた顧客やリピーターになっている顧客などがメインです。
よって、アプリ導入の目的を新規顧客獲得にすることはおすすめできません。新規顧客の獲得を目指すのであれば、WEBサイトやネット広告などをメインに利用したほうがよいでしょう
顧客視点で使いやすいアプリの5つの特徴
顧客の利便性を無視したアプリを開発してしまうと、利用者数は伸びず、導入目的も達成できません。継続的に顧客にアプリを利用してもらうために必要な5つの特徴についてご紹介します。
操作性が優れている
顧客視点で使いやすいアプリを作るためには、操作性を重視しなければなりません。ソフトウェアや関連サービスを提供する「ジャストシステム」が、アプリをアンインストールする理由を調査したところ、削除理由の2位に「実際に操作してみたときに操作しにくかったとき」がランクインしました。
買い物体験を向上させるための機能も大切ですが、それ以上にユーザビリティの高いアプリを開発することが重要です。
参考:6割以上は「3ヶ月以上未使用」なアプリを削除対象に【ジャストシステム調査】
動作が軽い
アプリの起動が早いなど、動作が軽いことも使いやすいアプリには欠かせない要素です。前述の調査では「起動に時間がかかったとき」が、アプリを削除する理由の4位にランクインしています。
動作が重いと会計時の会員証提示などにも時間がかかり、顧客だけでなく店舗スタッフもわずらわしさを感じてしまうことでしょう。アプリを開発する際には、すべての機能がサクサク動くことも大切な評価指標です。
顧客ロイヤリティを高める機能を組み込む
顧客が使えば使うほどお得になる機能を組み込むことで、顧客ロイヤリティの向上が期待できます。小売店のアプリであれば、会員証やポイントカード、クーポンといった機能を組み込むことで、利用促進および収益向上につなげられるでしょう。
例えば、PLAZAの会員サービスアプリ「PLAZA PASS」では、会員証やポイント、購入回数に応じたステージ表示など、さまざまな機能を組みこむことで顧客ロイヤリティを高める工夫をしています。
目的との親和性が高い
使いやすいアプリを開発するためには、目的との親和性も高めなければなりません。
アプリの導入によってどのような目的達成や課題解決をしたいか明確にし、それらを実現できる機能やサービスを実装することが求められます。また、顧客の目的にマッチしたUI・UXの設計も重要なポイントです。
目的達成までの手順が少ない
顧客の目的達成までの手順を少なくすることも大切です。
例えば、オンラインショップ機能が備わったアプリの場合、カートに入れてから購入完了までの手順が多いと、購入手続き中の離脱を招くおそれがあります。最悪の場合、アプリを削除されて二度と使われない可能性もあるでしょう。
操作ステップや入力回数などを減らして、目標達成までの手順を少なくすることが、使いやすいアプリを開発するためのコツです。
まとめ
小売業の収益拡大や顧客ロイヤリティ向上のためには、アプリの導入は有効と言えるでしょう。ただし、アプリを開発する場合、ゼロから構築するとなると膨大な費用がかかってしまいます。開発時間やコスト面での負担を押さえるなら、パッケージ化されたアプリを導入するのも良いでしょう。
既存ソリューションの有効活用も視野に入れて、効率よく導入する方法を検討してみてはいかがでしょうか。なお、キャッシュレス決済サービスを連携させたい場合は、以下のお問い合わせよりお気軽にご相談ください。