業務負担が増える原因は?負担軽減方法、改善事例も紹介
本記事では、業務負担を軽減するための方法について解説します。また、業務負担に偏りが発生する原因や負担を軽減する方法、さらに改善事例も紹介します。職場環境の改善に取り組む事業者の方に役立つ内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.業務負担が増え、業務負荷が高い状態とは
- 2.業務負担が増える原因
- 2.1.人手不足
- 2.2.1人あたりの業務量が多い
- 2.3.上司の業務配分に偏りがある
- 2.4.効率が悪い
- 2.5.仕事を抱えこむ
- 3.業務負担が増えるデメリット
- 3.1.モチベーションが低下し、ストレスが増える
- 3.2.メンタルヘルスの維持ができなくなる
- 3.3.離職者が増えるリスクがある
- 3.4.従業員が休みをとりにくくなる
- 3.5.仕事の効率が下がる
- 4.属人化による業務負担を軽減する方法
- 4.1.スキルマップを作る
- 4.2.業務をアウトソーシングする
- 4.3.AIやシステムの導入による自動化
- 5.改善には生産量を下げる覚悟が必要
- 6.属人化を解消して業務負担の軽減に成功した事例
- 6.1.株式会社テレビ朝日
- 6.2.パナソニックリビング近畿株式会社
- 7.バリューデザインの「独自Pay」導入でスタッフの業務負担を軽減
- 8.属人化を解消して働きやすい職場づくりをおこなおう
業務負担が増え、業務負荷が高い状態とは
業務負荷が高い状態とは、対応する仕事の量がとても多くなり、やりきるのが大変だと感じるような状態のことをいいます。
過剰な負荷により、効率低下、ミスの増加、ストレスの蓄積、さらにはバーンアウトなどの健康リスクを招きます。 恒常的に業務負担が増えた状態が続き、負荷が増え続けると、当人の健康リスクに加え、それをカバーするチームにもリスクとなるため、業務の見直しなどの改善策が必要となります。
管理職は業務負担が増え、業務負荷が高い
管理職は、たくさんの責任を同時に持っているため、業務負担が増え、負荷が高まる傾向にあります。管理職の場合、自分の仕事に加え、部下のサポートやチーム全体の目標達成も指導・管理する必要があるからです。また、レポートの作成や会議への出席だけでなく、部門間の調整、急なトラブルなどにも対応しなければなりません。
さらに、近年は難易度の高い挑戦をしたくないという従業員も増えており、業務配分に頭を抱える管理職も増えているようです。 これら多岐にわたる業務を効率的にこなす必要があり、プレッシャーや時間的な負担が非常に大きいため、業務負荷が高くなるのです。
業務負担が増える原因
職場において業務の属人化が常態化しており、作業の分配が偏っている場合に、業務過多が多くみられます。業務の属人化とは共通で取り組むべき業務に対して、特定の人間にしかできない状況になっていることを指します。
その理由としては「スキルを持った人材が他にいない」「別の担当者を育成する時間がない」「自分の業務を取られたくないという考えがある」といったものがあります。
また、少子高齢化により辞めていく人数に対して、新たに生産年齢となる人口が減少していることも原因のひとつです。以下では、考えられる5つの要因について説明します。
人手不足
人材不足は、業務量に見合う必要な人数が確保できていないために、現場で働く人たちが通常以上の負担を抱える状態です。本来ならば複数の人で分担すべき仕事を、限られた人数で対応することになるため、各従業員にかかる負担が増えます。結果として、長時間労働になる、疲労が蓄積するといった問題が発生します。適切な人材の確保や、チーム全体で業務量を見直すことが、人材不足による業務負担を軽減する鍵となります。
1人あたりの業務量が多い
従業員一人あたりに割り当てられる業務量が過剰になると、全てのタスクをこなすのが難しくなります。これは、プロジェクトやタスクが多すぎる場合や、従業員が同時に複数の業務を抱える必要がある場合に起こります。結果として、作業が遅れる、ミスが増える、精神的・肉体的に疲れがたまりやすくなります。業務の優先順位を明確にし、重要なタスクに集中できるような調整が必要です。
上司の業務配分に偏りがある
上司が従業員の業務配分を適切におこなわない場合、一部の従業員に仕事が集中し、他の従業員との業務バランスが崩れることがあります。この不均衡な業務配分により、特定の人だけが過度に忙しくなり、業務負担が増えます。また、チーム全体の生産性や士気が低下する原因にもなります。適切な役割分担や定期的なフィードバックを通じて、業務量を公平に分けることが重要です。
効率が悪い
効率的に業務にあたれないと、同じ作業であっても費やす時間が増え、結果として業務負荷が大きくなります。必要のない会議や情報共有不足で生じるコミュニケーションミス、などが原因です。効率的に仕事を進めるためには、業務フローの見直しや適切なツールの導入が必要です。また、作業の優先順位をつけることで、無駄を省き、時間を有効活用することができるでしょう。
仕事を抱えこむ
特に責任感の強い従業員の場合、業務を一人で抱え込む傾向があります。これが起因し、業務負単が増え、負荷が荷が高まることがあります。他の人に頼むのが苦手であったり、「自分がやった方が早い」と思ったりする人に生じやすいと言えます。しかし、抱え込みすぎると結果的にパフォーマンスが低下し、ミスが増えるリスクもあります。仕事を分担し、適切なタイミングで周囲に助けを求めることで、負担を減らすことが大切です。
業務負担が増えるデメリット
業務負担が増えることにより、様々なデメリットが生じます。ここでは、考えられる5つのデメリットについて説明します。
モチベーションが低下し、ストレスが増える
業務負担が増えると、従業員は自分の努力が報われないと感じ、やる気(モチベーション)が低下します。また、常に多くのタスクに追われることで、精神的な余裕がなくなり、ストレスがたまります。これは、生産性や仕事の質に悪影響を与え、長期的には従業員の満足度を大きく下げます。職場環境の改善や適切なフィードバックがないと、ストレスが慢性化し、深刻な問題へと発展する可能性があります。
メンタルヘルスの維持ができなくなる
業務負担が過剰になると、心の健康、いわゆるメンタルヘルスを維持することが難しくなります。過度なプレッシャーやストレスが長期間続くと、うつ病や不安障害といったメンタルヘルスの問題を引き起こすリスクが高まります。また、心身のバランスを崩すことで、集中力や判断力が低下し、仕事でのパフォーマンスが著しく落ちることもあります。従業員のメンタルヘルスを守るためには、業務量の見直しやサポート体制の強化が不可欠です。
離職者が増えるリスクがある
業務負担が重すぎると、従業員は「これ以上ここで働き続けるのは無理だ」と感じ、離職を考えるようになります。特に、過剰な負担が長期間改善されない場合、従業員は心身の健康を守るために、転職や退職を選ぶようになります。また業務負担が大きいと、仕事に費やす時間が増え、プライベートの時間を取りずらくなります。自分らしく生きたいと思う従業員にとっては、窮屈に感じ離職を選択肢に加える可能性も出てくるでしょう。
従業員が休みをとりにくくなる
業務が多すぎると、従業員は休みを取りにくくなります。「自分が休むと仕事が回らない」と感じ、体や心が疲れていても休むことをためらう状況が生まれます。休みがとりにくくなることで、それがストレスにつながることもあります。このような状態が続くと、疲労が蓄積し、最終的には健康を害するリスクが高まります。
仕事の効率が下がる
業務負担が増えすぎると、一人一人の従業員が時間やエネルギーの限界に達し、効率的に仕事をこなすことが難しくなります。疲労やストレスにより、集中力や判断力が低下し、作業スピードが落ちたり、ミスが増えたりします。結果として、仕事の進行が遅くなり、全体のパフォーマンスが悪化します。業務量のバランスを適切に保つことが、効率的な働き方と高い生産性を維持するために重要です。
属人化による業務負担を軽減する方法
業務負担の軽減には以下のような対策が有効です。
- スキルマップを作る
- 業務をアウトソーシングする
- AIやシステムの導入による自動化
それぞれについて解説します。
スキルマップを作る
スキルマップを作成することで属人化している部分を可視化して、全員で特定の業務を複数の人間が担当できるように組織を変えていきましょう。業務と担当者を洗い出してチームのメンバーそれぞれが担当できる業務を表にまとめます。マニュアル作りや配置転換など属人化の解消に向けた取り組みが可能になります。
業務をアウトソーシングする
業務のアウトソーシングを利用すれば、新たな担当者の教育時間を短縮できます。外部の専門分野に頼むことで業務の処理スピードがあがり、品質を高めることも可能です。対応しきれていない業務を洗い出してから依頼するようにしましょう。
AIやシステムの導入による自動化
単純にできる作業や代替できる作業は、AIや機械を導入して自動化する方法が業務負担の軽減に有効です。軽減された分、生まれた空き時間を活用して新たな業務担当を教育する時間を確保できます。
改善には生産量を下げる覚悟が必要
業務負担を軽減するには組織全体を変える必要があるため、経営陣としての判断が必要です。なぜなら、人材育成やシステムづくりの時間を勤務時間内に確保せねばならず、生産量が下がることを前提に定常業務の時間を減らす必要があるからです。時間を確保せずに改善しようとすると、さらに業務の負担が増えて状況が悪化する恐れがあります。
属人化を解消して業務負担の軽減に成功した事例
属人化を解消して業務負担の軽減に成功した事例を紹介します。職場環境の問題解決の参考にしてみてください。
株式会社テレビ朝日
株式会社テレビ朝日では、紙の申請手続きの業務負荷が高く、申請に関する業務知識が属人化しているという課題を抱えていました。そこで、書類電子化システムを導入したことによって、全体の約9割の申請業務を改善することに成功し、申請手続きが可視化されたことで属人化の解消につながりました。
引用元:https://www.atled.jp/agileworks/case/tv-asahi/
パナソニックリビング近畿株式会社
パナソニックリビング近畿株式会社では、住宅設備のプランを作成する部署において、属人化が発生して社員に大きな負担が生じる課題を抱えていました。そこで、ヒアリングを通して業務の洗い出しをおこない、現場の担当者を中心にマニュアルの作成を実施した結果、属人化していた業務が可視化され無駄な作業の削減ができました。
引用元:https://client.persol-hrpartners.co.jp/case/improvement_01
バリューデザインの「独自Pay」導入でスタッフの業務負担を軽減
バリューデザインが提供する「独自Pay」は、その店舗でのみ使えるハウス電子マネーを発行できるキャッシュレス決済サービスです。
お客様は、支払時にレジでカードをかざすだけなので、業務の負担軽減にもつながります。
また、自動データ集計や会員情報の分析といった機能はマーケティング施策の立案に活用できます。さらに、店舗処理の代行や取引履歴の一元管理などオペレーションが効率化されることで、スタッフの業務負担軽減にもつながるでしょう。
プリペイド式のシステムであるためキャッシュフローの改善が見込めることも特徴です。
属人化を解消して働きやすい職場づくりをおこなおう
業務負担が減らない職場にはさまざまなケースがあります。本記事では属人化を主な要因として解決方法を提案してきました。どのようなケースにしても、根本的な原因がどこにあるのか洗い出してから改善策を実施することが基本です。職場内で属人化が問題になっている企業の方は、この記事を参考に改善に取り組んでみてください。