アパレル業界のマーケティング戦略とは?仕事内容や成功事例をご紹介!
アパレル業界において、売上向上を目指したマーケティングを考える際にどのようなことが重要視されるのでしょうか。
本記事では、マーケティングで押さえるべき重要なポイントに加え、実際にマーケティング担当が行うべき仕事内容などをご紹介します。また、今後のアパレル業界に欠かせないECマーケットの動向や課題についても解説します。成功事例もピックアップしてご紹介しますので、参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.アパレル業界のマーケティングとは?
- 2.アパレル業界のマーケティングを進めるポイント
- 2.1.ポイント①ターゲットを明らかにする
- 2.2.ポイント②商圏を決める
- 2.3.ポイント③SNSの活用
- 3.アパレル業界のWebマーケティングのポイント
- 3.1.ポイント①Webサイト=お店
- 3.2.ポイント②アクセスを分析してユーザーを把握する
- 3.3.ポイント③施策を行ったら結果を振り返る
- 4.アパレル業界のマーケティング職に求められる市場調査
- 5.アパレル業界のECマーケットにおける動向
- 6.アパレル業界のマーケティングにおける今後の課題
- 6.1.課題①試着できる工夫
- 6.2.課題②顧客のニーズの把握
- 6.3.課題③テクノロジーを駆使した在庫管理
- 7.アパレル業界のマーケティングの成功事例
- 8.アパレル業界の店舗販促・マーケティングを支援するキャッシュレス決済「独自Pay」
- 9.アパレル業界で今後ますます必要になるマーケティング
アパレル業界のマーケティングとは?
マーケティングと聞くと「大手企業が行うもの」「大きな組織でないと難しい」といったイメージを持つ人も多いでしょう。しかし、マーケティングは業界や企業規模の大小を問わず、すべての企業にとって重要です。アパレル業界でも、もちろんマーケティングは大切です。
アパレル業界でマーケティングが重要視される背景
マーケティングとは、自社の商品やサービスが売れるような仕組みを作っていくことです。アパレル業界はトレンドの変化が大きく、ターゲットとする年代によって好まれる商品が異なる特徴があります。また近年は、インフルエンサーがSNSで商品を紹介し、販売を促す手法も一般的になりました。さらに新型コロナのパンデミックをきっかけに、オンラインでの買い物が普及するなど、消費者の購入スタイルも大きく変わってきています。だからこそ自社ブランドがターゲットとする消費者層に「どのようなニーズがあるのか」を把握した上で、ターゲットに効果的なアプローチ手法を用いて、商品の魅力をアピールするマーケティングがとても大切になるのです。
デジタルマーケティングとWebマーケティングとの違い
マーケティングで混同されやすいのが、デジタルマーケティングとWebマーケティングです。
デジタルマーケティングとは、ブランドのWebサイトや検索エンジン、SNS、メール、アプリなど、Webに限らずデジタルテクノロジーを活用して顧客接点を築いて行うマーケティングのことです。インターネットが広く普及する前は、営業担当者が各企業や家庭を訪問して営業活動を行っていましたが、インターネットが登場すると営業や販促活動がデジタル上でも行われるようになりました。このようなデジタルツールを介した販促活動全般をデジタルマーケティングといいます。
一方Webマーケティングは、Webサイトを中心としたマーケティングのことです。具体的には自社ブランドのWebサイトを作ったり、SEO(検索エンジン最適化)対策を行ったりすることです。Webサイトを訪れた人のアクセス情報を分析して、Webサイト内で発信する情報をアップデートしながら、販促活動に活かします。
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アパレル業界のマーケティングを進めるポイント
では、アパレル業界でマーケティングを行うためにどのようなことを押さえれば良いでしょうか。
ポイント①ターゲットを明らかにする
マーケティングの基本となるのが、まずターゲットを明確化することです。アパレルでは、性別、年齢、どんなライフスタイルの人をターゲットにするかで、求められるニーズが変わります。例えば「30代のナチュラルライフを好む女性」をターゲットにするブランドでは、自然素材でできたナチュラルな雰囲気のアイテムが求められ、ティーン向けのアイテムとは扱うものが大きく異なるでしょう。ターゲットが決まっていないと、マーケティングも取り扱う商品にも一貫性が出ず、事業が上手くいかない可能性が出てきます。そのため、どのターゲット層に商品を販売していきたいのかを決めることが大切です。
ポイント②商圏を決める
オンライン販売より実店舗での販売をメインとするアパレルブランドは、対象とする商圏についても明確にしましょう。ファミリー層が多いエリアであれば、子ども向けブランドや親子ファッションを提案するブランドなどが好まれるでしょう。出店する商圏にどのような人々が住んでいるのかも考慮する必要があります。
また、首都圏などの都市部では複数ブランドの店舗を展開する場合も考えられます。商圏が重なり、かつターゲットが重なるようなブランドを展開すると、自社のブランド同士で顧客の取り合いになる可能性も高くなります。店舗展開を考えていく際には、商圏の明確化がとても大切です。
ポイント③SNSの活用
SNSが広く利用されている中、アパレル業界におけるマーケティング活動としてSNSの存在は欠かせません。Instagramなどはアプリ上で商品販売ができる機能もあり、アパレルブランドにとっても、売上が見込めるでしょう。またSNSやブランドのアプリからのクーポン配信も、よく使われる手法です。クーポンがあればお得に買い物ができるため、消費者を店に呼び込むことができます。スマホの位置情報からその地域の店舗のクーポンを効率的に配信していけば、クーポンの利用率も高くなることが期待できます。さらにSNSのフォロワー情報を分析することで、どのような年代の人が利用しているのか把握することもできます。
アパレル業界のWebマーケティングのポイント
Webサイトに関わるマーケティング活動において、押さえておきたいポイントをご紹介します。
ポイント①Webサイト=お店
自社ブランドがWebサイトを持つのは当たり前の時代となりました。しかし「なんとなくWebサイトをつくる」だけでは意味がありません。Webサイトは、いわばお店の顔です。オンラインだけで買い物を済ませられるようになったことで、実際の店舗には訪れないことも増えてきました。
したがって、お店の顔であり、ブランドイメージや雰囲気を伝えるWebサイトはまさにお店そのものといえます。だからこそ、細部までこだわってブランドの世界観やイメージを顧客にきちんと伝える必要があるでしょう。また「Webサイトを訪れる人=来店した人」と捉えることができるため、できるだけWebサイトのアクセスを増やすことが大切です。
ポイント②アクセスを分析してユーザーを把握する
Webサイトは、どのような年代層のユーザーがどれだけ訪問して、どのくらいサイトに滞在したのかといったアクセス情報が数値として残ります。このアクセス情報を分析し、Webサイトの改善に役立てましょう。「20代の女性をターゲットにしていたが、実際にWebサイトを訪れた人は30代の女性が多かった」と分かったら、ターゲット向けのファッションを新しく展開できます。
また、特定の商品のアクセス数が多いものの売上が伸びていない場合は、その商品だけ特別クーポンを発行して売上を伸ばすなど、新たなマーケティング施策を講じられる可能性が広がります。Webサイトを作ったから終わりではなく、データを活用してWebサイトの改善を繰り返し、マーケティングを強化していきましょう。
ポイント③施策を行ったら結果を振り返る
マーケティング施策にはクーポンの配布やセールの実施、DMの発送など、さまざまな種類があります。施策の実施後は、Webサイトのアクセス分析を行い、施策の前後でどのような変化があったのか振り返りましょう。「なんとなく来店するお客さんが増えた」といった感覚に頼らず、数値から成果を見ることで、施策の効果を正しく判断できます。施策効果がいまひとつ見えなくても、そのやり方や時期を変えるだけで効果は変わってくるかもしれません。計画・施策実行の後に施策の振り返りをセットで行うことで、マーケティング活動がより一層改善していくでしょう。
アパレル業界のマーケティング職に求められる市場調査
アパレル業界は移り変わりの激しいトレンドの影響を受ける業界です。ファッションやメイクのトレンドは数か月程度で変わったり、インフルエンサーが提案するファッションがあれば一気に人気になったりするものです。そのため、アパレル業界のマーケティングは特に流行に敏感になって、さまざまな最新のトレンドをキャッチしておかなければなりません。特に女性向けのファッションは、メイクやヘアスタイルと洋服をセットで考えることが多いため、ヘアメイクについてのトレンドもつかんでおく必要があるでしょう。
そこで押さえておきたいのが市場調査です。市場調査とは、消費者のニーズや市場の動向を把握するために、消費者に関するさまざまな情報を集めて分析することをいいます。アパレル業界のマーケティングでは、そのような市場調査でニーズを把握することも大切です。
アパレル業界のECマーケットにおける動向
オンラインで洋服を買うという選択肢が広まっている今、ECマーケットでのマーケティングも考える必要があります。
ECビジネスの拡大とオムニチャネルの導入
実店舗での販売に加えて、オンラインでの販売を始めている店が増えています。経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査の結果」によると、日本のEC市場は右肩上がりで成長しています。ジャンル別にみると、衣類・服装雑貨におけるEC化率は21.15%となっており、EC化率が最も高い書籍、映像、音楽(46.20%)、生活家電AV機器(38.13%)には及びませんが、アパレルはEC化率が高い分野と分かります。
そこで考えておきたいのが、オムニチャネルの導入です。オムニチャネルとは自社ブランドと顧客のタッチポイントや販売経路を連携して、効率的にアプローチすることです。例えば、商品の注文と決済はECで行って受け取りは実店舗で行ったり、ECのみで販売する商品を展開して来店する顧客に案内したりすることです。オムニチャネルを導入することで顧客の満足度が上がり、売上も向上するといった効果が期待できます。
【参考】電子商取引に関する市場調査(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220812005/20220812005.html
M&Aなどの海外進出・グループ拡大
またECでの展開によって、海外に進出するブランドも増えています。海外に実店舗をオープンすることは資金面でもハードルが高くなりますが、海外向けのECを開くことはそれほど難しくありません。海外向けのEC開設によって海外進出やグループの拡大を図るブランドも増えています。もちろんM&Aでグループを拡大していくケースもあるでしょう。
アパレル業界のマーケティングにおける今後の課題
トレンドや人々の消費スタイルが変化し、新たな販売手法も生まれていく中、アパレル業界のマーケティングで考えなければならない課題とはどのようなことでしょうか。
課題①試着できる工夫
アパレル商品を購入する際に顧客は、実際に袖を通して自分の体に合うサイズか、着用時のシルエットはどうなるかを確認することを重要視しています。今後ユーザーのECの利用が今まで以上に増えていくことを考え、ECで注文した後に実際に自宅で試着して自分に合わなければ返却できるサービスを作ったり、実店舗で試着してからオンラインで注文できるシステムにしたりと「試着できない」というオンラインでのデメリットをカバーする仕組みが必要となるといえるでしょう。
課題②顧客のニーズの把握
一昔前のアパレル業界は、ブランド側が新しいトレンドを作り出し、それを消費者にアピールするスタイルが一般的でした。しかし、現在では顧客のニーズにあわせてブランドが商品を作り、販売していくスタイルに変化してきています。そのため、顧客がどのようなものを求めているのか、そのニーズを把握することが大切になります。また顧客のニーズは、時代や季節などによって変わっていくことが考えられます。WebサイトやSNSの分析、さらにSNS上でのユーザーとのコミュニケーションなどを通して、今本当に求められているものが何なのか、常に把握していくことが必要です。
課題③テクノロジーを駆使した在庫管理
アパレル業界の経営で負担となるのが、在庫の管理です。在庫を多く持ちすぎても店の負担になり、正確な在庫を把握していないと赤字経営にもつながりかねません。さらに実店舗とECの両方で販売を行っていれば、在庫管理は複雑になっていきます。近年はRFIDと呼ばれる電波を使い、非接触で読み書きできるタグを使って管理するケースが増えています。このようなテクノロジーを導入することで、スタッフの在庫管理の負担を軽減しながら、最新の正確な在庫を把握できるでしょう。
アパレル業界のマーケティングの成功事例
では、アパレル業界のマーケティングで成功した事例を6つご紹介します。
事例①ユナイテッドアローズ
ユナイテッドアローズはオウンドメディアを運営しています。オウンドメディアとは企業独自が運営するパンフレットやオンラインサイトなどのメディアのことで、ユナイテッドアローズではオウンドメディアにて洋服に限らず、職や旅、アートなど幅広い分野をピックアップして発信しています。「商品の向こう側にある生活観を伝えたい」という思いで、商品を売り込むためのメディアではなく、ユナイテッドアローズが持つ世界観やユナイテッドアローズがある生活の雰囲気をユーザーに伝えています。
事例②ユニクロ
ユニクロは実店舗での販売とオンラインストアでの販売をシームレスにつなぐオムニチャネルを導入して、成功しているブランドです。ユニクロのオリジナルアプリでは、AIチャットボットがコーディネートの相談にのってくれたり、気になった商品の在庫が実店舗にあるか確認できたりするほか、クーポンの配布やアプリ限定価格の提供などを行い、アプリのユーザー数を着実に増やしています。またアプリから注文して店舗で商品を受け取る際の送料を無料にし、オンラインと実店舗の両方の売上アップにつなげています。
事例③ミキハウス
子ども服ブランドのミキハウスは、出産・子育て応援サイトを運営しています。子どもの成長を見守る人を応援するという思いが込められていて、妊娠中から出産前後、さらに子育てに関するさまざまな情報を掲載しており、ユーザーが自然とミキハウスに愛着を持つような仕掛けが施されています。商品のアピールにばかり特化するのではなく、ターゲットが知りたい情報に寄り添うことで、ターゲットのハートをつかんでいます。
事例④CHOCOA
金沢を拠点にしたD2CブランドのCHOCOAは、マタニティウェアを展開しています。知名度がほとんどないところから始まりましたが、SNSやカスタマーサポートでの丁寧な接客によって、わずか2年で売上高10億円を達成しました。マタニティウェアは着用期間が限られているのにデザイン性の高いものが少ないことを受け「マタニティウェアでもっとファッションを楽しんでほしい」という想いから始まっています。実店舗がないからこそカスタマーサポート業務に専任のスタッフをおき、ユーザーと丁寧にコミュニケーションをとる戦略で着実にファンを増やしていきました。
事例⑤GU
GUは、InstagramやTikTokなどのSNSの運営で人気を博しているブランドです。特に短尺動画SNSのTikTokでは、音声付きの動画でコーディネートの紹介を行ったり、フォロワーの投稿を引用したりして、自社のWebサイトへ上手く誘導しています。またセールなどの情報はTwitterに投稿しており、Twitterユーザーはチラシ感覚でお得な情報をチェックできます。
事例⑥土屋鞄製造所
革製バッグや財布などを取り扱う土屋鞄製造所は、SNSマーケティングで成功している企業です。ものづくりのこだわりや、品質の高さを感じさせるようなブランドのストーリー、背景にフィーチャーして発信しており、ブランドに対する信頼を醸成しています。土屋鞄製造所の主力商品は5万円以上と決して安価ではなく、実際の商品購入までは時間がかかります。しかしSNSでブランドの世界観やストーリーを丁寧に届けることで、顧客との接点を上手くつないでいます。
アパレル業界の店舗販促・マーケティングを支援するキャッシュレス決済「独自Pay」
近年、キャッシュレス決済を導入する企業が増えていますが、その顧客データを自社で使えず、販促に活用できていないという店舗運営者の声を聞きます。
バリューデザインが提供する「独自Pay」は、自社専用のプリペイド式の電子マネーを発行できるうえ、顧客データを溜め、それを活かしたマーケティングをおこなえるキャッシュレスサービスです。ポイントやデジタルギフトなども展開できるため、既存顧客の来店促進や新規顧客獲得にも役立ちます。
また、独自Payサービス「Value Card」「アララ キャッシュレス」は、クレジットカードなどの汎用決済に比べて手数料率が低いため、店舗の負担軽減にも貢献します。
アパレル業界で今後ますます必要になるマーケティング
SNSやオンラインでのショッピングが増えていく昨今、アパレル業界においては今まで以上にマーケティングの必要性が高まっていることは間違いないでしょう。実店舗での販売に加えてオンラインでの売上アップを狙い、SNSを強化するなど、マーケティングを活かすべきシーンが数多くあります。
紹介した事例などを参考に、店舗のマーケティングに役立ててください。