店舗DXとは?導入メリットや顧客体験向上事例、施策例を紹介
小売業界において、店舗DX(デジタルトランスフォーメーション)を進める動きが広がっています。なぜ店舗DXを推進するべきなのでしょうか。店舗DXのメリットとデメリットや成功事例をご紹介します。
また、店舗DXを進める際の方法と流れ、成功のポイントと注意点についても分かりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.店舗DXとは何か?
- 2.店舗DXを進めるべき理由
- 3.店舗DXを行うメリット
- 3.1.メリット①業務の効率化につながる
- 3.2.メリット②効率的な在庫管理が可能
- 3.3.メリット③キャッシュレス化を促進できる
- 3.4.メリット④ヒューマンエラーを削減できる
- 3.5.メリット⑤顧客満足度が上がる
- 3.6.メリット⑥人件費・各種コストを削減できる
- 3.7.メリット⑦販売促進施策に役立てられる
- 4.店舗DXを行うデメリット
- 4.1.デメリット①運用にコストがかかる
- 4.2.デメリット②デジタル技術に優れた人材の確保が必要
- 4.3.デメリット③成果が出るまで時間がかかる
- 4.4.デメリット➃システムの導入・移行に失敗するケースがある
- 5.DXの推進が必要な店舗の特徴
- 6.店舗DXの成功事例
- 6.1.事例①ユニクロ
- 6.2.事例②スターバックス
- 6.3.事例③ノジマ
- 6.4.事例➃ローソン
- 6.5.事例⑤三越伊勢丹ホールディングス
- 7.店舗DXの施策例【オフライン】
- 7.1.セルフオーダーなど非対面の注文手段を取り入れる
- 7.2.セルフレジを導入する
- 7.3.キャッシュレス決済に対応させる
- 7.4.事前注文受付を導入する
- 7.5.顧客情報や会員カードを電子化する
- 7.6.自動売上集計システムを導入する
- 7.7.クラウド型の勤怠管理システムを導入する
- 7.8.スマートストアで人手不足を解消する
- 7.9.体験型ショップを始める
- 8.店舗DXの施策例【オンライン】
- 8.1.EC販売を始める
- 8.2.オンラインで接客する
- 8.3.バーチャル店舗を導入する
- 9.店舗DXとRaasの違いとは
- 10.店舗DXの推進方法と流れ
- 10.1.流れ①自社の課題を整理する
- 10.2.流れ②DX推進の目的を明確にする
- 10.3.流れ③DX推進の体制を整え最適なツールを選ぶ
- 10.4.流れ④実際に導入し運用を開始する
- 10.5.流れ⑤改善を重ねる
- 11.店舗DXを成功させるためのポイント
- 11.1.業務内容・フローを明確にする
- 11.2.経営層もプロジェクトに参加する
- 11.3.自社に合ったツール・サービスを選ぶ
- 11.4.小規模で低予算のものから導入する
- 11.5.他店のDX推進事例を参考にする
- 11.6.現場スタッフに理解・協力してもらう
- 11.7.費用対効果を確認する
- 12.店舗DXを推進する際の注意点
- 12.1.一部分のデジタル化だけでは効果がない
- 12.2.テクノロジーの導入だけで終わらせない
- 12.3.店舗DXの推進を目的にしない
- 13.店舗DXのことならバリューデザインの独自Pay「Value Card」「アララ キャッシュレス」 にご相談を
- 14.まとめ:店舗DXについて理解して導入の検討を
店舗DXとは何か?
「DX」とは「デジタルトランスフォーメーション」の略で、AI、IoTなどのデジタルテクノロジーをはじめ、ビッグデータなどを活用して業務改革を行うことをいいます。
そして「店舗DX」とは、店舗型のビジネスでデジタルトランスフォーメーションを行うことを意味します。これまでアナログで行っていた各種の業務を、デジタル技術を活用して行うことで、業務効率が格段に上がり、顧客へ提供するサービスも向上させることができます。
近年は、さまざまな分野でデジタル化が進んでおり、店舗DXへの注目が高まっています。
店舗DXを進めるべき理由
インターネットを利用したさまざまな技術が一段と広がったこともありますが、DXが注目されるようになった背景には、新型コロナウイルス感染症の感染拡大があります。リモートワークが普及し、人々の働き方が変わると同時にビジネス形態も大きく変化しました。少人数でも効率的に業務をおこなうためにデジタル化が注目されたのです。
また、日本全体で懸念される人手不足を補うためにも、さまざまな技術を導入しようという動きがあります。
このように、マーケットの中で勝ち抜くためには、DXはもちろんのこと、店舗DXも注目されています。
店舗DXを行うメリット
店舗DXを進めることで、多くのメリットが生まれると考えられます。ここでは7つのメリットを解説します。
メリット①業務の効率化につながる
DXの大きなメリットは、業務の効率化です。これまで手作業で行っていた工程をすべてデジタル化することで、あらゆる作業速度が上がります。手作業では各種のデータや情報の量が多くなるほど、処理にかかる時間も長くなりますが、デジタル化をすればそのような時間を短縮できます。
削減できた時間をこれまで対応できていなかった創造的な業務に使うことで、業務全体の効率化、生産性のアップが期待できます。
メリット②効率的な在庫管理が可能
店舗型のビジネスでは、商品の在庫や原材料の仕入れ管理が必要不可欠です。在庫や原料を多く仕入れすぎて売れ残れば損失につながり、逆に在庫が不足すれば販売機会の損失になります。
店舗DXを進めることで、仕入れや在庫管理をデジタルでできるようになります。商品が1点売れれば、その場でデータ上の在庫が1点減るというように、リアルタイムで正確な管理も可能です。
これにより、効率的に在庫管理ができるようになり、仕入れ業務や棚卸業務の負担が大幅に軽減できるでしょう。
メリット③キャッシュレス化を促進できる
店舗DXの一環に、キャッシュレス決済対応やセルフレジの導入があります。クレジットカードやモバイル決済などのキャッシュレス決済は、現金を必要としない決済方法なので、レジの対応にかかる時間が少なく済みます。
また、釣り銭の受け渡し間違いや現金の管理ミスも少なくなり、店舗側にとっては大きなメリットとなります。顧客側にとっても、現金以外の支払いの選択肢があることは、メリットとなるでしょう。
メリット④ヒューマンエラーを削減できる
注文の聞き間違いやレジでの釣り銭の渡し間違いなど、飲食店や小売店では、どうしても人為的なミスは起こってしまうものです。
店舗DXを進めることで、顧客は自身のスマホや備え付けのデバイスから直接注文できるようになり、現金のやりとりを行わないキャッシュレスで決済を完了できるようになります。
どのようなお店でもヒューマンエラーが起こる可能性はありますが、店舗にとっても顧客にとってもデメリットです。ミスを最小限に抑えるにも店舗DXが役立ちます。
メリット⑤顧客満足度が上がる
店舗DXによって店舗側の運営が効率的に行えるようになると、顧客に提供するサービスの質の向上にもつながります。店舗DXを進めれば、スマホで事前に注文して、店舗ですぐに商品を受けとることができる、または、キャッシュレス決済で釣り銭間違いなどもなくスムーズに支払いが完了できるなど、顧客にとっても「気持ちよく利用できる店舗」となるはずです。そのような体験は、顧客満足度の向上につながります。
メリット⑥人件費・各種コストを削減できる
店舗運営で大きなコストとなるのが人件費です。店舗DXを進めることで、デジタルテクノロジーを利用し、これまで人が行っていた業務を効率的に行えるようになります。店舗に配置するべきスタッフの数も最小限にできるため、人件費を削減できます。
また、チラシ配布やDMなどの販促活動においても、SNSやメールマガジンなどデジタルサービスを利用することでコストカットが可能です。
メリット⑦販売促進施策に役立てられる
在庫管理から売上管理もすべてデジタル化していくことによって、そのデータを収集・解析し、販売促進施策に活かすことができます。例えば、売上データの解析で、雨の日によく売れる商品が分かったとします。そのデータをもとに、雨が降ったらその商品を店舗の入口近くの目立つ位置に並べれば、さらなる売上アップを狙うことができるかもしれません。
顧客のデータをもとに、新しい商品の企画に活かすこともできるでしょう。
店舗DXを行うデメリット
一方で、店舗DXを行う上で考えられるデメリットもあります。主なデメリットを3つ紹介します。
デメリット①運用にコストがかかる
店舗DXを進めるためには、新たにシステムを構築したり、既存のシステムを再構築したりするための費用が必要です。また、システムの運用には毎月ランニングコストがかかることも忘れてはいけません。
しかし、運用コストなどがかかっても、長い目でみれば、従来の店舗運営を続けるよりもコスト削減と業務効率化につながるといえます。
デメリット②デジタル技術に優れた人材の確保が必要
店舗DXの推進には、従業員の協力が欠かせません。新しい在庫管理、顧客管理、決済システムなどの操作方法や業務フローについてトレーニングを行い、それらを習得してもらわなければいけません。デジタル機器の取り扱いに慣れていない従業員がいれば、研修を設けて指導することが必要となる場合もあるでしょう。また、店舗DXのシステムを構築したり管理したりする人材も必要です。
デメリット③成果が出るまで時間がかかる
店舗DXは、それぞれの店舗によって試行錯誤を繰り返しながら、必要な部分は改善を重ねて進めていくものです。そのため、店舗DXを始めてすぐに成果が目に見えるとは限りません。また、既存のシステムから新システムに移行するまでは、現場が混乱しやすく、時間がかかることも事前に把握しておきましょう。
店舗DXの成果がすぐに出ないからといって、焦る必要はありません。トライアンドエラーを繰り返しながら最適な方法を模索していくと良いでしょう。
デメリット➃システムの導入・移行に失敗するケースがある
店舗DXを進めるべく、新しいシステムの導入・データ移行をしようとして失敗してしまう可能性も0ではありません。特に、既存システム・制度の依存度が高い場合ほど、失敗してしまう可能性が高くなります。実際に失敗してしまう可能性が高いのは、以下のような場合です。
データ移行の実施期間が限られている
- 既存システム・制度を停止しなければならない
- 既存システムのデータやファイル形式が異なる
新しいシステムの導入・データ移行に失敗しないために、導入・移行前に無料トライアルで使用方法を確かめる、実施時期をあらかじめ定めておく、導入・移行サポートのある外部企業に依頼するなどの対策をしておくと良いでしょう。
DXの推進が必要な店舗の特徴
店舗にとっても顧客にとってもメリットが多い店舗DXですが、すべての店舗で推進するべきかといえば、そうではありません。コストなどを考慮した上で、店舗DXを取り入れるか判断するようにしましょう。以下のような課題・問題点を抱えている店舗は、DX化の必要性が高いと言えます。
- 十分な従業員が配置できておらず、適切な接客ができていない店舗
- アナログな作業が多く、ミスが多い店舗
- 顧客からの問い合わせが多く、従業員の負担が大きい店舗
- 受発注管理ができておらず、大量の欠品や廃棄が生まれている店舗
- オンラインショップも運営しているが、売上が良くない店舗
DXの推進の必要性が低い店舗の特徴
一方で、限られた客数に対してパーソナルな手厚いサービスを行っている店舗や、数人程度の従業員で運営できる小規模な店舗などは、DXを推進する必要性は低いといえます。
店舗DXの成功事例
では、店舗DXに成功した具体的な事例について見てみましょう。
事例①ユニクロ
スーパーマーケットなどで導入が進んでいるセルフレジですが、アパレルストアでセルフレジを導入したのがユニクロです。週末などはレジに行列ができることもあり、支払いのための待ち時間がかかることが課題でした。
そこでユニクロでは、商品の金額などを記憶させたRFIDタグを商品に取り付けるシステムを導入しました。顧客がレジに商品を置くだけで、合計金額がすぐに算出されるため、ひとつひとつのバーコードを読み取る必要がなく、数分で会計が終わり、混雑緩和や人件費削減につながっています。
事例②スターバックス
出勤前やランチタイムには行列ができることも多いスターバックスコーヒーでは、列に並ばずに事前にスマホで注文できる専用アプリを導入しています。長い行列に並ぶことは顧客にとってストレスであり、店舗の従業員にも負担が大きい面がありました。また、待ち時間があまりにも長いと、別のコーヒーショップに顧客が流れてしまうことも考えられます。
スターバックスコーヒーでは、以前からプリペイド型のギフトカードやモバイル決済を導入してきましたが、これをさらに改善させたのが、アプリの導入です。顧客は事前にアプリで注文と決済ができるため、スムーズに待ち時間なく商品を受け取れます。このアプリはアメリカ・ニューヨークなどで開始し、日本を含めた全世界に展開しています。モバイルオーダーのパイオニア的な存在となり、大きな革命をもたらしました。
事例③ノジマ
紙で掲示していた値札を小型ディスプレイに置き換える「電子棚札システム」を導入したのが、家電量販店のノジマです。従来の値札では、セールが行われる際や価格改訂が起きた際には値札の印刷・付け替えが発生し、店舗側に大きな負担となっていました。しかし、電子棚札では、セール価格や商品情報の表示などを簡単かつスピーディに管理できます。消費税が10%に増税されて全商品の価格表示を変更しなければならなかった際にも、この電子棚札システムがあったおかげで、短時間での対応が可能だったそうです。
さらに、これまで膨大にかかっていた作業時間を短縮できた分だけ、接客に注力したり、他の販促活動を行ったりと、顧客満足度の向上のためのサービスに充てられるようになりました。
事例➃ローソン
ローソンでは、「2030年までに食品ロス50%削減(対18年度比)、50年までに100%減」という目標を掲げ、店舗ごとの在庫数や販売データなどをもとにAIが値引額を推奨するシステムを導入しました。2021年の導入実験では、AIによる値引システムによって食品廃棄金額が導入前に比べ約2.5%減少、粗利額は約0.6%増加するという結果が出ています。また、今まで各店舗のオーナーの判断で値引業務をおこなっていたため、各店舗にある程度の業務経験をもった人員が必要でした。さらに24時間営業のため値引業務をおこなう時間に働くスタッフの独断となり、常に合理的な値引判断ができるとは限らないといった課題もありましたが、AIシステムの導入により値引作業を簡易的かつ効果的にできるようになったそうです。
事例⑤三越伊勢丹ホールディングス
三越伊勢丹HDではスマートフォンアプリ「REV WORLDS」を使用し、実店舗の価値をバーチャルの世界で体験することができる「仮想伊勢丹新宿店」を提供しています。「仮想伊勢丹新宿店」には実店舗で販売されている商品が並んでおり、購入したい商品をアプリから「三越伊勢丹オンラインストア」へ遷移して、オンライン上でいつでも・どこにいても購入することができます。また、顧客はチャットやビデオで店員から接客を受けることができ、商品の詳細などを確認することも可能です。
店舗DXの施策例【オフライン】
オフラインでの店舗DX施策には、実店舗でのセルフレジやキャッシュレス決済の導入などが挙げられます。代表的なオフライン施策を以下にご紹介します。
セルフオーダーなど非対面の注文手段を取り入れる
テーブルに設置したセルフオーダー端末やスマートフォンで読み込めるオーダー用のQRコードから、顧客自身が注文します。顧客側は店員を呼ぶ必要がなくなるため好きなタイミングで注文できるようになり、店舗側にとってはスタッフ不足の削減やオーダーミスの低減につながります。
セルフレジを導入する
セルフレジは、店舗スタッフではなく顧客自身が精算をおこなうレジのことを指します。人手不足の店舗はセルフレジを導入することで、今までレジを担当していたスタッフを他業務に回すことができたり、レジの回転率向上や釣銭ミスの防止などを期待できます。
キャッシュレス決済に対応させる
クレジットカードやQRコード決済、電子マネーといったキャッシュレス決済は、カードやスマートフォンを決済端末に通す・かざすだけの操作で簡易的に決済できるため、現金決済に比べて素早く会計が完了します。他にも、釣銭の用意が不要になる、レジの混雑緩和などのメリットがあります。
事前注文受付を導入する
Webサイトやアプリで顧客からの注文を事前に受け付けるシステムを導入することで、顧客の店舗での待ち時間削減・店舗の混雑解消につながります。また、顧客が来店するタイミングを確認できるように設定しておけば、店舗側もオーダーから受け渡しまで余裕をもって対応することができます。
顧客情報や会員カードを電子化する
顧客の情報をデータベース化することで、顧客属性の分析や在庫管理などを簡易的におこなえるようになります。また、データ化したものを使用して店舗独自の販促キャンペーンを実施するのも良いでしょう。なお、顧客情報の取り扱いには十分注意しましょう。
自動売上集計システムを導入する
自動売上集計システムとは、レジの売上データを自動集計しデータ化するシステムのことです。時間や気候別の売上や客数などを集計したデータを、キャンペーンの実施や値引の実施などに活用できます。
クラウド型の勤怠管理システムを導入する
クラウド型の勤怠管理システムを導入することで、スタッフ間でのシフトの共有や給与計算の自動化を実現します。今まで給与計算やシフト調整作業をおこなっていた担当者の負担軽減・ミス削減になるでしょう。
スマートストアで人手不足を解消する
スマートストアとは、AI(人工知能)やIoT(今までインターネットに接続されていなかったモノを、サーバやクラウドサービスによって相互に情報交換する仕組み)などの最新技術を活用して、売り場の最適化を図る店舗のことを指します。店内に設置したAIカメラで取得された顧客の年齢や性別、顧客が手に取った商品などのデータをもとに、仕入れや顧客ニーズをスピーディーに確認でき、売上の向上につながる機能を果たします。また「RFID」という商品に貼付された電子タグによって、顧客が入れているアプリへ賞味期限や割引の情報を通知できます。
体験型ショップを始める
商品・サービスを購入するか悩んでいる顧客をターゲットにした体験型ショップの開設は、オンラインショッピングが拡大している昨今において増加しています。体験型ショップは商品・サービスを販売する場所ではなく、購買体験を提供する店舗を意味します。ECサイトで購入した商品を体験型ショップで受け取る、体験型ショップで試した商品をECサイトで購入して自宅へ配送するといったこともできます。
店舗DXの施策例【オンライン】
オンラインでの店舗DX施策には、EC販売やバーチャル店舗の導入などが挙げられます。代表的なオンライン施策を以下にご紹介します。
EC販売を始める
実店舗で販売している商品をインターネット上で売買できるように、Webサイトやオンラインショップを開設すると良いでしょう。顧客側はインターネット環境さえあれば店舗が営業していない時間帯でも、誰でも気軽に商品やサービスを閲覧・購入でき、店舗側はEC販売を始めることで実店舗だけではない、オンラインでの顧客接点を作れるなど、収益増加と顧客拡大に期待できます。
オンラインで接客する
「接客」というと、「店員が顧客に対面でおこなうもの」というイメージがありますが、SNSやビデオ通話、チャットなどを利用してインターネット上でおこなうこともできます。オンラインでの接客は、ECサイトなどを閲覧して商品・サービスの購入を検討している顧客に対して説明やアドバイスをリアルタイムでおこなうことができ、顧客の購買意欲向上が見込めます。また、顧客・店員双方の顔が見えるビデオ通話であれば、店舗での対面接客のような細かいコミュニケーションが図れます。
バーチャル店舗を導入する
インターネット上の仮想空間で店舗運営をおこなう「バーチャル店舗」は、昨今不動産・家具業界などで多く導入されているオンライン店舗DXの一つです。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などを活用し、顧客は3D化された店内や商品、サービスをリアルに近い形で様々な角度から見ることができます。店舗側としても、実店舗では取り込めない、遠方に住む顧客などに対しても画面越しに商品やサービスを案内できるため、ECなどと比べて顧客へ購買を促しやすい点もメリットです。
店舗DXとRaasの違いとは
店舗DXと混同して用いられやすい言葉に「Raas(ラース)」があります。Raasとは「Retail as a Service(小売業のサービス化)」の略で、革新的な仕組みを持つIT企業と小売企業が協業して、自社もしくは他の小売企業へ新たな商品やサービスを開発するビジネスモデルのことを言います。
つまり、Raasのターゲットは主に自社や同業他社ですが、店舗DXは主に顧客をターゲットとしたサービスである点が一番の違いです。
店舗DXの推進方法と流れ
いきなり店舗DXを進めようとしても、何から始めれば良いのか分からない方も多いのではないでしょうか。ここでは店舗DXを行う際の代表的な流れを解説します。
流れ①自社の課題を整理する
まず、自社ではどのようなフローで作業が行われていて、どこにどのような課題があるのか整理することから始めましょう。どの作業で従業員の負担が大きいのか、どの工程で従業員が足りていないのか、現場の担当者などからリアルな声を吸い上げ、現状で解決するべき問題が何なのかを把握することが大切です。そのうえで、どの部分をDXで解決できるのか検討していきます。
流れ②DX推進の目的を明確にする
ただ何となくDXを進めるだけでは、その成果を最大限に活かすことはできません。最初のステップで把握した課題に対して、DXを進めることでどのようなことを実現したいのか、目的やゴールを明確にしましょう。「人件費を20%削減する」「売上を150%にする」など、具体的なゴールを設定するといいでしょう。
流れ③DX推進の体制を整え最適なツールを選ぶ
具体的な目的と解決しなければならない問題がわかったら、それに適したツールを検討する段階に進みます。キャッシュレス決済に対応したサービス、売上管理から在庫管理を一括で行えるツールなど、さまざまなものがありますので、使いやすさやコストと照らし合わせながら、自社に最適なものを選定します。導入を検討する際は、ぜひ実際に使ってみて、現場の従業員が使いやすいかも確認するといいでしょう。
流れ④実際に導入し運用を開始する
ツールが決まったら、いよいよ実際の導入です。運用開始にあたり、必要に応じて従業員への研修、トレーニングを設定する必要があるでしょう。また、これまでとは作業フローが変わる場合には、新しいワークフローを決めて従業員に周知していくことも重要です。社内にそれらのツールの運用に詳しい人材がいれば、その人たちによるサポートを受けられる体制を構築することも必要になるでしょう。
流れ⑤改善を重ねる
DXを進めていく上では、現場での使い勝手や従業員、顧客からの反応などを見て、適宜改善を重ねていくことが重要です。実際に「作業しにくい」「やりづらい」といった声がある部分は見直しを行い、自社にとって最適な方法やルールを見つけていくようにしましょう。
店舗DXを成功させるためのポイント
店舗DXを進めて目標を達成し、さらなる成功を収めるためには、いくつかのポイントがあります。
業務内容・フローを明確にする
店舗DX推進の流れでご紹介したとおり、店舗DXを考える最初のステップとして大切なのは、現状の業務内容や作業フローを洗い出して明確にすることです。自社で行っている細かいさまざまな工程について改めて整理して、無駄な作業や、従業員に負担がかかっているプロセスがないかチェックしましょう。そして、店舗DXによって改善が見込まれるプロセスがあれば、デジタル技術を用いて効率化していきましょう。
また、すべてのフローをデジタル化すればいいわけではなく、例えば従業員が一人ひとりの顧客と丁寧に接客しながら対応するような場面では、そのような対人サービスは活かしながら、別の部分で業務の効率化を図ることが必要です。
経営層もプロジェクトに参加する
店舗DXは一部の部署や一部の従業員だけが行うのではなく、部署を横断して企業全体で取り組むものです。これまでのやり方とは違う作業フローが必要になるため、社内に大きな変革をもたらすことになります。そのため店舗DXについては、経営層も理解することが必要になるでしょう。
店舗DXを進めるためには、各種ツールの導入が必須であり、そのためのコストがかかることも理解しなければなりません。すぐに成果が出にくく、長期的な視点で考える必要があるからこそ、企業全体で店舗DXの必要性を理解し、推進していく体制をつくることが求められます。
自社に合ったツール・サービスを選ぶ
小売業界だけでなく、さまざまな分野でDXが注目されていることから、DXツールには多くの種類が存在します。決済では、多種多様なキャッシュレス決済に対応したサービスやセルフレジシステム、社内のコミュニケーションやデータ管理ではチャットツールやオンラインストレージ、ウェブ会議システムなどが挙げられます。そのほか、在庫・商品管理システムや売上管理システムなどもあります。
自社が抱える課題を解決するためには、どのツールが最適か、コスト面も含めて検討することが必要です。また、現場でそれらを使う従業員にとっても、「使いやすいか」「すぐに利用できそうか」といったこともチェックするといいでしょう。
小規模で低予算のものから導入する
店舗DXにあたり、店舗運営で行っている作業の一部分だけDXを進めることも可能です。作業のあらゆる工程を一度に変更すると、現場の混乱を招き失敗に終わることも考えられます。
そこで、一部の工程について低い予算で始められるところからDXを進め、現場での運営がうまくいくようになったら、段階的にその規模を拡大していくことを考えるといいでしょう。複数の店舗があるなら、一部の店舗だけで試験的に始めて、現場で改善を重ね、最良のスタイルが確立してから全店舗で展開すると、さまざまなリスクの回避につながります。
他店のDX推進事例を参考にする
店舗DXは、商品管理、在庫管理、従業員の勤務管理、売上管理、マーケティングなど、実に多岐にわたります。
そこで、自社と同じ業種や店舗規模が近いところで、DXを推進して成功している事例を参考にすることをおすすめします。同じような店舗なら、似たような課題を抱えていることが多く、成功事例は大いに参考になるでしょう。
現場スタッフに理解・協力してもらう
店舗DXを進めると、それらの各種ツールを日常的に使うのは主に現場のスタッフになります。また、セルフレジのように顧客が自ら操作を行うようなツールを導入した場合、顧客が困った際や誤った操作を行ったときに対応するのは、現場のスタッフです。そのため、現場スタッフの協力が欠かせません。
DXを進めるにあたっては、ツールを使う意味を現場スタッフに周知したうえで、操作方法を把握できるように、研修やトレーニングを設けるなどのサポートが必要になります。
費用対効果を確認する
店舗DXを進めて運用していくには、コストがかかります。いくら業務効率が上がっても、ランニングコストが高すぎては、その効果に見合っていないと感じるかもしれません。あまりにもコストが高いなら、運用をやめるか、他のツールに変えるかなどを検討する必要も出てくるでしょう。
逆に、低コストであっても、それなりの成果が見られなければ別の方法を考えてもいいでしょう。
店舗DXを推進する際の注意点
店舗DXを推進するときには、以下の点について注意しましょう。
一部分のデジタル化だけでは効果がない
一部の作業のデジタル化はDXといえません。DXは広範囲にわたって進めることで、作業の時間短縮やマーケティングへの活用など、大きな効果を生み出します。DXとは、一部のデジタル化ではなく、根本的で広範囲の対応が必要であることを理解しましょう。より広い視点で、DX推進について考えることがポイントです。
テクノロジーの導入だけで終わらせない
店舗DXではテクノロジーを導入することに注力しがちですが、導入だけで終わっていては意味がありません。テクノロジーを利用することで、どのような業務改善が見られ、それをどのように次のステップに活かすことができるのか、目標を設定し、テクノロジーを有効活用しましょう。
また、適切な作業フローが構築できなければ、業務の生産性が落ちて、従業員だけでなく顧客の満足度が落ちることも懸念されます。DXを推進したら、それを効率的に運用できるようなワークフローを作り、必要に応じて改善・変更していくことが大切です。その際には現場の従業員の声を活かすと良いでしょう。
店舗DXの推進を目的にしない
店舗DXは、店舗運営をより良くするための手段のひとつにすぎません。「従業員にとって負担の大きな作業を軽減したい」「顧客満足度をさらに上げて他店と差別化したい」「売上をさらにのばしたい」など、それぞれの目標を実現するための方法です。店舗DXを推進することが最終ゴールではなく、業務運営を効率化して売上向上や顧客満足度向上などの本当の目標達成を目指しましょう。
店舗DXのことならバリューデザインの独自Pay「Value Card」「アララ キャッシュレス」 にご相談を
バリューデザインが提供する「Value Card」「アララ キャッシュレス」はは、店舗独自の電子マネー「独自Pay(ハウス電子マネー)」を発行できるほか、ポイントやデジタルギフトなど販促にも活かせる機能を搭載したキャッシュレスサービスです。一般的なキャッシュレスサービスに比べて手数料が低く設定されているため、店舗の負担が少ないのも特徴です。店舗DXを推進する一環として、このサービスの利用を検討する店舗が増えています。
まとめ:店舗DXについて理解して導入の検討を
飲食、アパレル、サービスなど、分野を問わずあらゆるビジネスがDXに注目し、これまで以上に効率的な事業運営を叶えています。店舗型のビジネスなら、店舗DXがどのようなものなのか、どのようなメリットとデメリットがあるのか、まずは理解していくことから始めてみましょう。そのうえで、自社にとって最適なDXについて、ツールの導入を含めて検討し、店舗のさらなる成功を目指してはいかがでしょうか。
また、以下より無料で店舗DXを支援するバリューデザインのキャッシュレスサービスに関する資料をダウンロードいただけます。
店舗DXを検討している方は、ぜひ一度ご覧ください。