キャッシュレス決済の導入効果は?日本の導入状況や普及しない理由も解説
キャッシュレス決済とは、小銭や紙幣といった現金を利用せず、クレジットカード・デビットカード・電子マネーなどで支払いをおこなうことです。日本は海外に比べてキャッシュレス決済の導入率が低く、今後の普及が課題とされています。本記事ではキャッシュレス決済の現状や期待される効果、普及しない理由などを解説します。
目次[非表示]
- 1.キャッシュレス決済の導入状況
- 1.1.なぜキャッシュレス決済が注目されている?
- 1.1.1.決済インフラのコスト削減
- 1.1.2.外国人旅行客(インバウンド)対策
- 1.1.3.人員削減と感染症対策
- 2.キャッシュレス決済の導入で期待できる効果
- 2.1.支払いにかかる時間を短縮できる
- 2.2.両替のための時間やリスクをなくせる
- 2.3.レジ締めの効率化・負担軽減になる
- 2.4.経理業務の時間・費用を削減できる
- 2.5.インバウンド対策にもなる
- 2.6.人手不足を解消できる
- 2.7.感染症対策を図ることができる
- 3.キャッシュレス決済が普及しない理由
- 4.キャッシュレス決済の導入を検討中なら「Value Card」
- 5.まとめ
キャッシュレス決済の導入状況
日本におけるキャッシュレス決済比率は、経済産業省によると2021年時点で32.5%となりました。なかでもクレジットカードの決済比率は、2015年の16.5%から27.7%に上昇しています。また、2018年から登場したコード決済は1.8%まで上昇し、電子マネーの2%に迫っています。
経済産業省は2025年までにキャッシュレス決済比率40%を目標としており、今後も導入する企業や店舗は増加していくでしょう。日本のキャッシュレス決済導入状況は世界的に見ると遅れており、今後の進展に注目が集まっています。
参考:経済産業省 「2021年のキャッシュレス決済比率を算出しました」
なぜキャッシュレス決済が注目されている?
日本でキャッシュレス決済が注目される理由には、3つの重要なポイントがあることが関係しています。
- 決済インフラのコスト削減
- 外国人旅行客(インバウンド)対策
- 人員削減と感染症対策
決済インフラのコスト削減
経済産業省の発表したキャッシュレス・ロードマップによると、現金決済インフラの維持には年間2.8兆円のコストが発生するとされています。
一方、キャッシュレス決済インフラコストは1.4兆円となっており、現金決済のおよそ半分です。
外国人旅行客(インバウンド)対策
観光に訪れた外国人旅行客にとっては、現金決済よりもキャッシュレス決済のほうが両替の手間なども省けるため、利便性が高いと言えます。
外国人観光客による経済効果を期待する観点からも、キャッシュレス決済の重要性は増しています。
人員削減と感染症対策
キャッシュレス決済は現金決済のように人手もかからず、お金に手で触れることもないため衛生的です。こうした理由から近年は、キャッシュレス決済が注目されるようになっています。
参考: 経済産業省 PAYMENTS JAPAN「キャッシュレス・ロードマップ2022」P16
キャッシュレス決済の導入で期待できる効果
キャッシュレス決済を導入することで期待できる効果は次のとおりです。
- 支払いにかかる時間を短縮できる
- 両替のための時間やリスクをなくせる
- レジ締めの効率化・負担軽減になる
- 経理業務の時間・費用を削減できる
- インバウンド対策にもなる
- 人手不足を解消できる
- 感染症対策を図ることができる
支払いにかかる時間を短縮できる
キャッシュレス決済の大きなメリットは、レジでの支払い時間を大幅に短縮できる点です。
現金支払いの場合、レジで料金を請求してから顧客がお金を取り出し、店員がお釣りを渡すという一連の流れに時間を取られます。しかし、キャッシュレス決済であれば、顧客がお金を取りだす時間も、お釣りを準備する時間も不要です。
クレジットカード会社JCBの調査によると、決済にかかる時間は現金で約28秒、キャッシュレスなら最短8秒という結果も出ています。最も時間のかかるQRコード決済でも約17秒となっており、現金より10秒以上支払い時間を短縮できます。顧客が数人程度なら支払い時間も影響はありませんが、数十人が並ぶ状況なら大きな差になるでしょう。特に数人で店内をオペレーションしている場合、キャッシュレス決済の恩恵を大きく感じるはずです。
両替のための時間やリスクをなくせる
キャッシュレス決済を導入すると、店舗側が両替のために使っていた時間や防犯対策にもなります。
現金決済の場合、店舗側は常にお釣りの用意をしておく必要があり、銀行で両替用の貨幣を準備しなければなりません。両替のために人手と時間が割かれ、業務が滞って非効率的です。また店舗内に現金を保管していないということは、空き巣や窃盗による被害も最小限に抑えられます。お釣り金額の間違いも防げるため、店舗側にとって多くのメリットがあります。
他にもキャッシュレス決済を導入することで、客単価が増加しやすいという副次効果にも注目すべきです。現金よりも気軽に支払いができることで、店舗の売上もアップするでしょう。
レジ締めの効率化・負担軽減になる
キャッシュレス決済には支払い時間の短縮だけでなく、レジ締め作業の効率化・作業負担軽減の効果もあります。
例えば、業務終了後の違算金の確認作業が代表的です。もし釣銭の渡し間違いがあれば、金額にズレが生じます。レジ締めの確認作業では1円でも金額に違いがあれば、最初から計算し直さなければなりません。計算が合うまで繰り返し作業を行うことから、作業する社員にとってはストレスと負担がかかります。
キャッシュレス決済なら決済金額がそのまま売上に反映されるため、違算金の発生も起こりません。社員にとってはレジ締め作業が効率化でき、お金を管理するという心理的負担が減ることから、店舗にも社員にも大きなメリットになるでしょう。
経理業務の時間・費用を削減できる
キャッシュレス決済ではレジ締め作業だけでなく、会計システムでの連携で経理業務の負担も軽減できます。
キャッシュレス決済システムには会計システムと連携できるものがあり、決済端末やレジのデータと連動できます。データを会計システムに取り込むことで、毎日の売上が一目で確認可能です。会計システムを利用すれば、給料明細作成作業や確定申告書類の作成作業なども簡単にできるでしょう。特に確定申告作業にかかる時間と費用を大幅削減でき、人手不足の会社・店舗ほど大きな恩恵を受けられます。
キャッシュレス決済は月数千~数万円で導入できるものが多いため、経理業務に時間と費用をかけることに比べれば大幅なコスト削減になります。
インバウンド対策にもなる
日本でもキャッシュレス決済は広がりを見せていますが、海外に比べると普及率は低いのが現状です。一気に普及しない理由の一つに、日本の紙幣は、海外の紙幣に比べ偽造しにくいことが挙げられますが、インバウンド需要を狙う業界にとってはキャッシュレス化は欠かせません。外国ではキャッシュレス決済の需要が高く、日本でも利用できれば購買行動につながるからです。
日本国内で現金決済をするには、外貨を日本円に両替する必要があります。余計な手間が発生することから、現金決済のみでは購買意欲の低下につながりかねません。キャッシュレス決済を導入することで、インバウンドのニーズを掴めるでしょう。
人手不足を解消できる
日本では少子高齢化によって生産年齢人口が減少傾向にあり、多くの企業で人手不足の状況に陥っています。今後も人手不足の状況に大きな改善は見込めないため、労働環境や働き方の仕組みを変える必要に迫られています。
キャッシュレス決済は、人手不足解消の手段としても効果が期待できます。
先に説明した通り、支払い時間の削減やレジ確認・経理業務負担の軽減が見込めるため、業務の効率化につながり、少ない人員でも生産性を低下させずに作業できます。どの業界も人手不足で悩んでいるからこそ、既存人材での対処方法としてキャッシュレス決済を有効活用するのがおすすめです。
感染症対策を図ることができる
キャッシュレス決済では現金を扱わないため、感染症対策としても有効です。
現金は多くの人の手を渡っているため、細菌やウイルス、汚れなどが付着している可能性が高いです。顧客から社員が現金を受け取り、その状態で次の顧客にも対応しなければなりません。そのため現金決済はキャッシュレス決済よりも感染症のリスクが高く、手指消毒やアルコール除菌といった対策を頻繁に行う必要があります。一方、キャッシュレス決済では顧客・社員とも現金に触れないため、清潔な状態で接客できます。
消毒薬などのコストも抑えられ、感染症対策と費用削減の両面から有効な施策になるでしょう。
キャッシュレス決済が普及しない理由
日本でもキャッシュレス決済が普及しつつありますが、それでも海外と比べると導入率は低いのが現状です。その理由として、次の3つが挙げられます。
- 貨幣への信頼性が高い
- 加盟店が広がりにくい
- レジ業務が煩雑化しやすい
そもそも日本でキャッシュレス決済が普及しなかった背景には、貨幣に対する信頼性の高さがあります。日本は世界的に見ても治安が良い国で、簡単に貨幣も偽造できないようにさまざまな仕掛けがされています。キャッシュレス決済と比べても偽造の可能性が低く、安全性が高いことからキャッシュレス決済は普及しませんでした。
またキャッシュレス決済は初期コストと毎月の費用の問題から、加盟店が広がりにくい点も普及がなかなか進まない原因です。特に個人の店舗でもコストが大きな負担となり、キャッシュレスを導入する店舗は少ないです。
他にも現金決済とキャッシュレス決済があることで、レジ業務が煩雑になりやすい点も課題とされています。キャッシュレス決済をさらに普及させるには、店舗側にとって運用しやすいものに変化させていく必要があるでしょう。
キャッシュレス決済の導入を検討中なら「Value Card」
「Value Card」は、株式会社バリューデザインが主にスーパーマーケットや飲食店などに向けて展開する独自Pay(ハウス電子マネー)サービスです。健全な店舗運営には資金繰りの改善も欠かせません。
キャッシュレス決済サービスの中には、決済後に加盟店である店舗へ支払がなされるものもありますが、「Value Card」は、消費者が購買前にチャージをして使うプリペイド式を採用しているため、チャージした時点で店舗に現金が入る仕組みになっています。
また、ポイントシステムやデジタルギフト、独自のキャンペーンの設定などで再来店を促せます。「Value Card」は他のキャッシュレス決済に比べて、手数料が低く設定されており、POSレジとの連携もできるため、店舗の負担を最小限にしながら売上管理も実現できます。
まとめ
キャッシュレス決済は世界的にも広く普及しており、日本でも年々広がりを見せています。
日本は長らく現金決済が主流でしたが、スマホ・タブレットの普及や感染症の流行などの影響もあり、キャッシュレス決済を導入する企業、利用する方が増加しています。
キャッシュレス決済は初期コストも比較的安価でありながら、業務効率化や人手不足の解消に効果的な方法です。大企業だけでなく、中小企業でもキャッシュレス決済を導入すれば、より多くの顧客を獲得するチャンスになるでしょう。