飲食店がキャッシュレス決済を導入するメリット・デメリット 種類や選び方も解説
近年は飲食店でも、クレジットカードやQRコード決済などのキャッシュレス決済を導入する店舗が増加しています。キャッシュレス決済はレジ業務をスリム化し、経理業務の効率化、新規顧客への訴求効果なども期待される決済方法です。本記事では、飲食店向けにキャッシュレス決済の種類や導入のポイント、メリット・デメリットなどを解説します。
目次[非表示]
- 1.そもそもキャッシュレス決済とは?
- 2.飲食店で導入できるキャッシュレス決済の種類
- 2.1.①クレジットカード決済
- 2.2.②QRコード決済・バーコード決済
- 2.3.③電子マネー決済
- 3.飲食店がキャッシュレス決済を導入するメリット
- 3.1.集客アップにつながる
- 3.2.会計の手間がなくなり、サービスが向上する
- 3.3.客単価の向上が期待できる
- 3.4.レジ締め作業の負担を軽減できる
- 3.5.感染症対策になる
- 3.6.防犯対策ができる
- 4.飲食店がキャッシュレス決済を導入するデメリット
- 4.1.導入・運営の費用が発生する
- 4.2.決済手数料がかかる
- 4.3.入金サイクルが長くなる
- 5.【飲食店向け】キャッシュレス決済方法の選び方・注意点
- 5.1.利用者が多いものを選ぶ
- 5.2.平均客単価をもとに考える
- 6.飲食店のキャッシュレス決済導入は「Value Card」へ
- 6.1.ロイヤルカスタマー・リピーターを増やしやすい
- 6.2.独自Payでキャッシュフローが改善できる
- 6.3.決済手数料が安い
- 7.まとめ
そもそもキャッシュレス決済とは?
キャッシュレス決済とは、現金を用いることなくクレジットカードや電子マネー、QRコードを用いて支払いを行う方法のことです。現金を用いないため支払いが簡便で、レジ業務の効率化や売上・会計処理が容易になる効果があります。利用する顧客のメリットだけでなく、店舗側にも多くのメリットがある決済方法です。
日本においてはキャッシュレス決済比率は年々増加しており、2023年には支払い方法全体の39.3%まで上昇しました。政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度にするという目標を立てており、今後もキャッシュレス決済の導入率は高まっていくでしょう。
参考:経済産業省 「2023年のキャッシュレス決済比率を算出しました」
キャッシュレス決済の導入で得られる効果
キャッシュレス決済の導入で得られる効果には、以下のものがあります。
- 支払いにかかる時間を短縮できる
- 両替のための時間やリスクをなくせる
- レジ締めの効率化・負担軽減になる
- 経理業務の時間・費用を削減できる
- インバウンド対策にもなる
- 人手不足を解消できる
- 感染症対策を図ることができる
事業者にとっての最大のメリットは、レジ業務と経理業務が効率化できる点です。
JCBの調査によると、キャッシュレス決済は現金決済に比べて、最大で決済にかかる時間を3分の1程度に減らせることが分かっています。加えて、キャッシュレス決済はPOSシステムと連携することで、毎日のレジ締め業務を大幅に短縮できます。
混雑しやすい店舗や人手不足で業務効率化が必要な店舗ほど、キャッシュレス決済を導入するメリットは大きいでしょう。
飲食店で導入できるキャッシュレス決済の種類
飲食店で導入できるキャッシュレス決済の種類は、次の3つです。
- クレジットカード決済
- QRコード決済・バーコード決済
- 電子マネー決済
①クレジットカード決済
クレジットカード決済は、キャッシュレス決済の中で最も利用されている決済手段です。多くの日本人は1枚以上クレジットカードを持っているため、身近なキャッシュレス決済といえるでしょう。クレジットカード決済は手元に現金がなくても支払い可能で、翌月に利用金額を請求される仕組みです。
またクレジットカードの中には、決済時にポイントが付与されてギフトとの交換や現金の代わりに利用できる種類もあります。クレジットカード決済は、インバウンドの利用率も高く、インバウンド対策を進めたい事業者にもおすすめです。
決済方法はカードを決済端末に差し込むタイプや、かざすだけで決済できるタイプなどがあります。
②QRコード決済・バーコード決済
QRコード決済やバーコード決済は、スマホアプリを利用してQRコードやバーコードで決済を行う方法です。読み取り方法は、2種類あります。
- 顧客が、アプリで店舗側のQRコードを読み取る
- 店舗が、顧客のアプリに表示されたバーコードやQRコードを読み取る
日本でも近年利用率が伸びている方法で、手軽さから若年層を中心に広がりを見せています。
③電子マネー決済
電子マネー決済は、事前にチャージしたICカードや店舗が独自に発行するカードのほか、銀行口座などと紐づいたアプリで決済する方法です。
SuicaやPASMOなど、交通系電子マネーのほか、WAONなど流通系の電子マネー、そのお店のみで利用できる「独自Pay」などがあります。ICカードやスマートフォンを決済端末にかざすだけで、簡単に決済できるものもあり人気があります。
飲食店がキャッシュレス決済を導入するメリット
飲食店がキャッシュレス決済を導入することで得られる効果やメリットを紹介します。
- 集客アップにつながる
- 会計の手間がなくなり、サービスが向上する
- 客単価の向上が期待できる
- レジ締め作業の負担を軽減できる
- 感染症対策になる
- 防犯対策ができる
集客アップにつながる
キャッシュレス決済を導入することで、現金決済以外の支払い方法も選べるようになります。その結果、普段からキャッシュレス決済を中心にしている方や、現金を持ち歩かない方も自店舗の顧客になる可能性があります。
初めて店舗を訪れる方の場合、現金では手持ちの金額次第でそのまま退店することもあるでしょう。現金決済だけではそうした顧客を逃してしまい、機会損失につながります。一方、キャッシュレス決済はクレジットカードや電子マネーなど、銀行口座と紐づいたものが多いです。金額をそれほど気にせず利用できるため、新規顧客を獲得するチャンスになります。
会計の手間がなくなり、サービスが向上する
キャッシュレス決済には会計がスムーズになり、サービスの質が向上するという効果もあります。現金での支払いは、顧客に金額を伝えて顧客がお金を払い、お釣りを受け取るという一連の流れがあります。この流れを言葉や手でやりとりするため、毎回多くの時間がかかるでしょう。混雑していない時間帯なら問題ありませんが、行列ができるとオペレーションが難しくなるだけでなく、店内の動線も塞がれてしまいます。また、混雑している時間帯は店員も焦りからミスをしやすくなり、金額の間違いやサービスの質が低下するおそれがあります。
キャッシュレス決済ならスマホやカードをかざしたり、カードを差し込んだりするだけですから、会計業務の効率化になるはずです。
客単価の向上が期待できる
キャッシュレス決済を導入すると、客単価の向上にも期待がもてます。キャッシュレス決済は金額を気にせず好きなものを注文可能で、気軽に追加注文ができるからです。
現金決済の場合、手持ちの現金と相談しながら予算内で収まるように注文することになります。
そのため本来食べたいものを注文できないことも多く、客単価減少の要因になることがあります。
一方でキャッシュレス決済を利用する顧客の場合、普段より少し高いメニューやおつまみメニューなど、現金では注文しにくいメニューも注文してくれるでしょう。
客単価を向上させるという点でも、キャッシュレス決済には一定の効果があります。
レジ締め作業の負担を軽減できる
現金決済で負担になるのが、レジ締め作業です。しかしキャッシュレス決済を利用すれば、レジ締め作業の負担を大幅に軽減でき、金額の間違いもなくなります。店員にとって作業時間がかかり精神的負担になるのが、売上の確認作業です。キャッシュレス決済ならデータとしてすべての売上が管理できるため、そういった負担がほとんどなくなります。
また両替にかかる時間が少なくなり、多額の現金を店内に置く必要もなくなるため、作業効率と防犯の面からも効果的です。
感染症対策になる
キャッシュレス決済は直接現金に触れる必要がなく、感染症対策の面でも有効です。
現金は多くの人の手で触れているため、細菌やウイルスが大量に付着しています。コロナ禍以降、多くの方が感染症対策を意識するようになり、現金に触れたくないと考える人が増えてきています。キャッシュレス決済は、そうした方のニーズに応えられる決済方法です。カードやスマホで決済すれば、店員も顧客も現金に触れることなく会計できます。またレジ周囲や店員の手指消毒の機会も減り、時間とコストの削減になります。店舗の感染症対策を考えるなら、キャッシュレス決済の導入は効果的といえるでしょう。
防犯対策ができる
キャッシュレス決済を導入すると、支払いはデータでのやりとりになります。現金の取り扱いが少なくなるため、多額の現金を店内に保管しておく必要もなくなります。万が一、強盗や空き巣などが店内に侵入してきても、被害を最小限に食い止められるでしょう。また現金が少なければ銀行への入金が少なくなるとともに、両替のために大量の現金を持つ必要もなくなります。防犯対策として考えても、キャッシュレス決済は店舗にとって大きなメリットです。
飲食店がキャッシュレス決済を導入するデメリット
飲食店がキャッシュレス決済を導入することで、どのようなデメリットがあるのかについても紹介します。
- 導入・運営の費用が発生する
- 決済手数料がかかる
- 入金サイクルが長くなる
導入・運営の費用が発生する
キャッシュレス決済を導入するには、初期費用と維持・運営費用がかかります。どのサービスを利用するか、導入する決済の種類によって、費用は大きく変わります。自店舗の顧客のニーズに合わせつつ、予算とも相談しながら導入するキャッシュレス決済サービスを決定しましょう。
キャッシュレス決済を導入する際は、次の費用がかかります。
- 端末の費用(購入・レンタルなど)
- 毎月の利用料
- 手数料(決済方法によって異なる)
上記の費用は多くの決済代行会社で発生するため、利用しやすいものを選ぶ必要があります。また、初期導入費用が高くても、維持費がほとんどかからないケースもあります。店舗の予算を踏まえて、最適なサービスを選んでください。
決済手数料がかかる
キャッシュレス決済では現金決済とは異なり、決済の種類によって決済手数料が発生します。クレジットカードや電子マネー、QRコードなどの種類によってそれぞれ決済手数料は違います。手数料は一般的にクレジットカード・デビットカードは3~10%、電子マネーは3~5%、QRコードは2~3%です。手数料が高いものほど店舗の利益が減少するため、手数料の安いサービスのほうが継続しやすいでしょう。また、自店舗でよく利用する決済手段の手数料を参考にサービスを選ぶのもおすすめです。
手数料は会計の度に発生するコストですから、できる限り低く抑えなければ運営の負担になるため注意が必要です。
入金サイクルが長くなる
キャッシュレス決済において課題になるのが、入金サイクルの長さです。
現金決済は手元に残るため、キャッシュフローが安定しやすいという利点があります。一方のキャッシュレス決済は1か月遅れで入金されるサービスもあるため、入金サイクルが長くなる傾向があります。
しかし近年は最短翌営業日に振り込まれるサービスも増えてきました。資金に余裕のある店舗なら入金サイクルが長くても問題ありませんが、小規模の店舗には死活問題になります。資金繰りを安定させるには、入金サイクルの短いサービスを選ぶのがポイントです。
【飲食店向け】キャッシュレス決済方法の選び方・注意点
飲食店向けのキャッシュレス決済方法を選ぶ際、どのようなポイントで選ぶべきか、また注意点はどこかを解説します。
利用者が多いものを選ぶ
キャッシュレス決済を導入しても、利用者がほとんどいないものを選んでしまうとあまり変化を感じられません。そのため、キャッシュレス決済の中でも利用者が多いものを選ぶことが重要です。日本ではクレジットカード決済が主流ですが、店舗によっては別の決済手段のほうが利用される可能性もあります。決済手段の選定にあたっては、レジ業務で顧客からよく質問される決済方法を調査したり、顧客向けにアンケートを実施したりするとよいでしょう。
飲食店は提供する内容にもよりますが、比較的単価が高くなりやすいため、クレジットカードを利用する方が多いです。
調査によると、飲食店での支払い経験ではクレジットカード決済が79.1%と圧倒的に多数です。
店舗の特性や社会的なデータを参考にしながら、自店舗に最適なキャッシュレス決済手段を検討しましょう。
平均客単価をもとに考える
キャッシュレス決済を導入する際は、自店舗の客単価で考えることも重要です。顧客は支払いの金額によって、支払い方法を変更することが多いためです。
例えば客単価が1,000円未満の飲食店では、電子マネーやQRコード決済のほうが多いという結果も出ています。逆に客単価が高くなるほどクレジットカード決済の比率が高くなりやすいため、自店舗の客単価をベースに考えることは大切です。
ファストフード店ならスマホで決済できる電子マネー決済やQRコード決済、レストランや居酒屋ならクレジットカード決済の優先度が高くなるでしょう。
飲食店のキャッシュレス決済導入は「Value Card」へ
飲食店にキャッシュレス決済を導入する際におすすめの、「Value Card」の特徴を紹介します。
ロイヤルカスタマー・リピーターを増やしやすい
「Value Card」は、独自Payと呼ばれる自店舗だけで利用できるキャッシュレス決済方法です。
チャージする際や精算時の利用額に応じて、インセンティブ付与の設定が可能です。インセンティブは再び自店舗でのみ利用できる仕組みになっており、リピート率増加に効果的です。独自Payによるリピート効果は、ロイヤルカスタマー育成にもなります。汎用性の高いキャッシュレス決済との組み合わせれば、初めて来店する顧客にも訴求でき、新規顧客獲得を促進できます。
また顧客データを元に自店舗ならではのキャンペーンを打ち出すことにより、さらなるサービスの質向上につなげられるでしょう。
独自Payでキャッシュフローが改善できる
独自Payは、顧客にチャージしてもらう仕組みです。チャージされたお金は、前受金として店舗に支払われます。通常のキャッシュレス決済では、支払いから入金までにタイムラグがあり、一般的には2~4週間、最短でも翌営業日の入金となります。タイムラグがあると店舗はその間無収益になり、キャッシュフローが悪化するおそれがあります。
独自Payならチャージのタイミングで入金されるため、経営基盤の安定化がスムーズに進みます。
決済手数料が安い
独自Payは、他の決済方法より手数料が安い点も特徴です。
一般的にクレジットカード・デビットカードは手数料3~10%、電子マネーで3~5%、QRコードは2~3%とさまざまです。決済手数料は店舗の売上から差し引かれるため、その分利益が減少してしまいます。しかし独自Payなら手数料を先述の手数料率以下に設定でき、店舗の利益を向上できます。
キャッシュレス決済の利益率改善を図るなら、「Value Card」がおすすめです。
まとめ
飲食店にキャッシュレス決済を導入するにあたって、どのような決済方法があるのか、メリット・デメリット、サービスの選び方などについて解説しました。
多くの飲食店ではクレジットカードや電子マネー、QRコード決済が導入されており、キャッシュレス化が進んでいます。大切なのは、店舗によって客層やコンセプトにも違いがあるのを理解し、自店舗に合った決済サービスを導入することです。
業務効率化と新規顧客獲得の可能性を広げるためにも、顧客ニーズをつかんだキャッシュレス決済を選択しましょう。