顧客分析とは?効果的な11の手法と重要ポイント、ツールによる分析方法について解説
顧客分析とは、商品を購入する人やサービスを利用する人の属性や購買履歴などを分析することを言います。では顧客分析は、具体的にどのような手法でおこなわれているのでしょうか。
本記事では、顧客分析が重要な理由と注意点をあわせて、わかりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.顧客分析とは何か?
- 1.1.顧客分析の対象となる顧客層や項目
- 2.顧客分析が重要な理由
- 3.顧客分析をおこなうメリット
- 3.1.メリット① マーケティング活動の効率化
- 3.2.メリット② 売上向上
- 4.顧客分析のポイント
- 4.1.ポイント①顧客分析の目的を明確にする
- 4.2.ポイント②目的に適した手法を選ぶ
- 4.3.ポイント③分析したデータを活用する
- 4.4.ポイント④顧客の購買プロセスも分析する
- 4.5.ポイント⑤市場の成長性や動向を考慮する
- 5.顧客分析の具体的な手法
- 5.1.手法①セグメンテーション分析
- 5.2.手法②RFM分析
- 5.3.手法③デシル分析
- 5.4.手法④CTB分析
- 5.5.手法⑤行動トレンド分析
- 5.6.手法⑥LTV分析
- 5.7.手法⑦CPM分析
- 5.8.手法⑧コホート分析
- 5.9.手法⑨パイプライン分析
- 5.10.手法⑩特定顧客の分析
- 5.11.手法⑪AIや専用ツールによる分析
- 6.顧客分析の注意点
- 6.1.注意点①顧客の定義をしっかりおこなう
- 6.2.注意点②市場の動向を考慮する
- 7.顧客管理に関する相談はバリューデザインが提供する「Value Card」「アララ キャッシュレス」へ
- 8.まとめ:事業の発展には欠かせないのが顧客分析
顧客分析とは何か?
マーケティングの場面や経営戦略を立てる際に必ずおこなわれるのが、顧客分析です。顧客分析とは、自社の商品・サービスを購入・利用する顧客について、その属性や購買履歴などを分析することを指します。実際にどのような人が自社を利用しているのか、その実態を把握することは、自社を取り巻く現状がどのようになっているのかを理解する一歩になります。また顧客がどのような人々なのかがわかると、顧客のニーズを把握したうえで、それらを新たな商品開発に活かしたり、マーケティングに反映することも可能になります。
顧客分析の対象となる顧客層や項目
顧客分析の対象となる項目はビジネスの種類や目的によって異なりますが、次のような項目が多く使用されます。
【属性】
- 年齢
- 性別
- 居住地(地域、都市、国など)
- 収入レベル
- 職業
- 教育レベル
【行動パターン】
- 購買履歴
- 購入頻度
- 購入金額
- 偏好や嗜好
- チャネルの選好(オンライン、店舗など)
- ウェブサイトやアプリの使用パターン
これらの要素を分析することによって、顧客ニーズをより詳しく把握することができます。顧客のニーズや行動のパターンを理解することで、マーケティング戦略や製品開発に活かせます。
顧客分析が重要な理由
顧客分析は、なぜおこなうべきなのでしょうか。顧客分析が重要と言われるのには、次のような理由があります。
理由①ニーズを把握できる
現在の売上をさらに伸ばしていくためには、顧客にどのようなニーズがあるのか把握することが大切です。ニーズは顧客層によって異なるため、現在の顧客がどのような人々なのかを知ることで、顧客のニーズを探ることができます。例えば、現在の自社の顧客が、子育て中の若い既婚女性が中心だと分かったとしましょう。すると、子育てに役立つグッズや時短をサポートするアイテム、子どもが喜ぶデザインのものなどが求められるかもしれません。このように、自社の顧客にどのようなニーズがあるかを理解することが大切なのです。
理由②現在の商品・サービスがニーズと合っているかわかる
自社の顧客にどのようなニーズがあるのかが分かると、現在販売している商品や提供しているサービスがニーズと合っているのか確認できます。ニーズとの合致と売上状況を合わせて分析していくと、「ニーズと合って求められているもの」と、「ニーズと合わずに売上が伸び悩んでいるもの」が見えてくるはずです。ニーズと合致しているものはさらに展開し、ニーズと合わず売上が伸びていないものは別の商品に変更するといった具合に、今後のビジネスの展開についてさまざまなアイデアを得ることができるでしょう。
理由③新商品開発・サービス改善に役立てられる
顧客のニーズを把握し、現在の商品・サービスとの合致や売上を分析することで、新しい商品の開発やサービスの改善につなげられます。顧客は求めているが自社ではまだ提供できていなかった商品やサービスがあればそれらを開発したり、顧客のニーズにもとづいてさらなるサービスの改善をしたりすることで、競合他社との差別化にもつながり、売上向上などプラスの影響をもたらすでしょう。
顧客分析をおこなうメリット
顧客分析をおこなうことで得られるメリットとして、次のようなものが挙げられます。
メリット① マーケティング活動の効率化
顧客分析をおこなうことで、顧客のニーズや現在販売している商品・提供しているサービスがニーズと合っているかを確認でき、より効果的な戦略を考案・実行することができます。さらに、分析結果をもとにどの施策が効果的であったか、どの施策が改善の余地があるかを客観的に判断することもできます。
メリット② 売上向上
顧客分析をおこなうことで、顧客が求める製品やサービスの特徴、価値を把握できます。把握した情報をもとに、顧客が本当に必要とするものを提供すれば、顧客の購買意欲を高め、売上アップにつなげることができます。また、顧客分析に基づいた的確な広告やプロモーションを展開することで、無駄な費用の削減にもつながります。
顧客分析のポイント
顧客分析をおこなうときは、以下の3つのポイントが大切です。
ポイント①顧客分析の目的を明確にする
顧客分析をおこなう目的は、その企業や店舗によってさまざまです。顧客分析をおこなう主な目的は、「現状を把握する」「現在の店舗施策を評価する」「業績を向上させる」ことが考えられます。顧客分析をおこない、どのようなことに活かしていきたいのか、まずは目的を明確にしましょう。それによって、分析する「顧客」の対象が変わってきます。「顧客」と一言で言っても、「既存顧客」から、今後顧客になることが見込まれる「見込み顧客」、以前は利用していたが現在は利用していない「休眠顧客」など、対象となる顧客の状況ははさまざまです。目的にあわせて、どの顧客に焦点を絞っていくか変わってきます。
ポイント②目的に適した手法を選ぶ
顧客分析をおこなう手法は多くあります。詳しくは後述しますが、例えば、既存顧客から共通するところを見つけ出して、その項目を洗い出すのが「セグメンテーション分析」です。他にも、利用金額をもとに店舗が育てていくべき顧客を見つけ出す「RFM分析」、利用金額の順に10等分にグループ分けして購入比率や売上高を分析する「デシル分析」などがあります。最初に決めた目的に沿って、どのような情報を収集すると自社にとって役立つのかを見極め、最適な分析手法を選びましょう。
ポイント③分析したデータを活用する
顧客分析は、分析をして終了ではありません。分析したデータをもとに、販促活動や商品開発などに活用していくことが重要です。顧客分析をおこなうことだけで手いっぱいになり、分析をおこなうことが最終目標となってしまうと、分析結果を施策に活かすことができず、顧客分析は失敗に終わってしまいます。顧客分析で得られた結果をもとに、そのデータを必ず次のステップに活かしていきましょう。また、目的によって、顧客分析で着目するデータは異なるため、注意が必要です。
ポイント④顧客の購買プロセスも分析する
顧客が商品やサービスを購入するまで「どのような購買プロセスを辿ったか」を分析することは、ターゲットに合わせたフォローや施策を実施しやすくするために欠かせないポイントの一つです。
たとえば、法人向けに商材を販売する場合、購入までの意思決定から決済までに携わる人数が多く、購買までのプロセスが複雑化・長期化する場合があります。認知から関心、比較検討、購入までのステップや意思決定者などの傾向を把握することで、それぞれの段階で最適な情報を与え、購入を促すことが可能になります。
ポイント⑤市場の成長性や動向を考慮する
ターゲットとなる顧客の市場規模や成長性を分析することも重要です。市場の特徴を分析することで、新規参入やマーケティング手法の決定に役立ちます。市場規模が自社サービス・商品に合わない、成長性が見込めない市場の場合は、別の市場を開拓することも視野に入れましょう。
顧客分析の具体的な手法
では、顧客分析をおこなうときによく使われる7つの手法についてご紹介します。
手法①セグメンテーション分析
セグメンテーション分析は、顧客をセグメンテーション(区分)していく手法です。具体的な分類区分には、年齢、性別、学齢、職業、年収といった「人口統計的な属性」のほか、住んでいる地域やその気候、気温などをもとにする「地理的属性」があります。また、購入の時間帯や経路、利用頻度といった衝動行動をもとにする「行動的属性」、ライフスタイルや価値観などから分類する「心理的属性」もあり、それらを活用していきます。
手法②RFM分析
RFM分析とは、「Recency(直近購入日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の頭文字をとった言葉です。この3つの指標から、顧客をグループ分けしていきます。そして、特に売上の貢献度が高いグループを導き出して、そのグループに対して効果的な販売促進対策を計画していく手法です。また、「F(購入頻度)とM(購入金額)の数値は高いが、R(直近購入日)の数値が低い」グループに対しては、来客を呼び込む施策をおこなうというように、それぞれの対策を講じていきます。
手法③デシル分析
顧客を購入金額の高い順に10等分して、10のグループに分類し、そこから購入比率や売上構成比を算出していく分析方法がデシル分析です。店舗の売上のうち、大きな割合を占めているのがどのグループか見極めることで、優良顧客層を把握できるようになります。そして、効率的に売上を伸ばすためには、どのグループに特に注力していくべきかわかり、その後の販売促進活動に活かすことができます。
手法④CTB分析
CTB分析とは、「Category(カテゴリ)」「Taste(テイスト)」「Brand(ブランド)」の頭文字をとった分析方法で、この3つを指標にして顧客を分類していきます。「カテゴリ」でファッション、食品、子ども向け、生活雑貨といった大きな分類をおこない、「テイスト」でアンダーウェア、キッチン用品、サイズ、デザインといった中程度の分類、最後の「ブランド」でブランドやキャラクターなどの分類をおこないます。顧客の趣味嗜好を把握して、どのような傾向の商品を好む顧客がいるのかグルーピングしていき、販売戦略を立てることができます。
手法⑤行動トレンド分析
顧客の消費行動についてフォーカスして分類していくのが、行動トレンド分析です。例えば、アイスクリームは暑い夏の季節にもっとも売上が伸びますが、寒くなる冬にも売上が伸びます。このように顧客の消費傾向をもとに購買率を導き出すことで、商品展開のアイデアや売り出し時期を見極めるヒントを得られるようになります。特に季節性の高い商品に有効な手法で、売上の伸びない時期に販売促進活動をおこなうのではなく、売上が伸びていく時期に集中し販売促進活動をおこなうなどの対策を講じることができます。
手法⑥LTV分析
LTVとは「顧客生涯価値(Life Time Value)」の意味で、LTV分析は顧客がその店に生涯でどのくらいの利益をもたらすのか、その総額のことを言います。LTVが上がれば企業の売上を伸ばすことにつながります。LTVを算出するためには、顧客1人の取引額に収益率と継続利用期間をかけて算出するなど、いくつかの計算方法があります。LTVを算出したら、さらに収益を上げるためにどのようなことをおこなうべきか検討していけます。またコストや利益構造を把握することにもつながります。
手法⑦CPM分析
CPM分析は、購買行動、経過日数、頻度をもとに、顧客を10のグループに分類する手法です。CPMは「顧客ポートフォリオマネジメント(Costomer Portfolio Management)」のことで、顧客のポートフォリオを基準に分析していく手法です。例えば、1度利用しただけで現在は利用していない顧客層には、店舗とのコミュニケーションに的を絞るといった具合に、各グループに最適な販促計画を立てていくことができます。この手法は、購入金額は低いものの、長期的に利用している顧客層に働きかけて優良顧客に育てていけるメリットがあります。
手法⑧コホート分析
コホート分析は、類似の特性を持つグループ(コホート)を作成し、そのグループの行動やパフォーマンスの変化を時間とともに追跡・評価する手法です。コホート分析によって特定のイベントや施策がユーザーの行動にどのような影響を及ぼすかが分かります。
コホート分析の一般的な手順は次のようになります。
- 特定の期間に登録・購入・利用などの共通点を持つユーザーグループを選択する
- 選択したコホートの特性や指標を記録する
- その後の期間における同じ特性や指標の変化を観察する
例えば、あるオンラインストアが新機能を導入した場合、導入前と導入後のコホートの購入率や滞在時間を比較することで、新機能の効果を評価できます。このように、コホート分析は時系列データを活用して、ビジネスの意思決定やマーケティング戦略の改善などに役立ちます。
手法⑨パイプライン分析
パイプライン分析は、営業活動において見込み顧客の獲得から受注までを段階的に可視化し、プロセスの効率や問題点を特定する手法です。パイプライン分析によって、提案や商談、見積や契約処理など、どのステップが最も効率的でないかを特定し、その改善に取り組むことで全体のパフォーマンスが向上します。
手法⑩特定顧客の分析
メルマガの購読者や自社サイトの会員情報などから顧客情報を分析し、顧客の特徴や購買傾向を捉えてマーケティングに役立てる手法です。所持しているハウスリストへ直接アプローチができるため、スピーディーな施策の際に効果のある手法と言えます。
手法⑪AIや専用ツールによる分析
AIを使った顧客分析は、人工知能(AI)技術を活用して、企業や組織が顧客の行動や傾向を理解し、より効果的なマーケティング戦略やサービス提供を実現するための手法です。AIは膨大なデータを高速かつ精度高く処理し、顧客の購買履歴、ウェブサイトのアクセス情報、SNSの投稿などから顧客の興味関心や好みを抽出することができます。
ただし、データプライバシーや倫理的な側面も考慮し、適切なデータの取り扱いが求められます。
顧客分析の注意点
顧客分析をおこなう際は、次のようなことに注意しましょう。
注意点①顧客の定義をしっかりおこなう
店舗によって、どの層を顧客と定義づけるかが変わってきます。すでに利用している既存顧客を対象とするのか、それとも潜在的に顧客となり得る層を対象と考えるのかなど、顧客分析の目的によって異なります。まず、どのような層を顧客と考えるのか定義をしましょう。
注意点②市場の動向を考慮する
市場は時代の変化とともに変わっていきます。そのため、顧客分析をおこなうときは、市場動向も考慮することを忘れないようにしましょう。例えば、幼児を対象にした商品を展開する店舗の場合、少子化が進んでいく将来について考慮する必要があります。
顧客管理に関する相談はバリューデザインが提供する「Value Card」「アララ キャッシュレス」へ
バリューデザインが提供する「Value Card」「アララ キャッシュレス」は、独自Payの導入をサポートする総合型キャッシュレス支援サービスです。店舗独自の電子マネーを発行したり、独自のキャンペーンをおこなったりと、店舗の売上を支えるロイヤルカスタマーを育成できます。また、顧客属性や購入履歴などの顧客情報の管理もでき、顧客情報にもとづいた効率的な販促活動をおこなえます。顧客管理について考えている方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ:事業の発展には欠かせないのが顧客分析
既存の事業の現状を把握して、それをさらに発展させていくために大切なのが顧客分析です。どのような顧客が、どのように自社の商品・サービスを使っているのか理解することは、事業の中長期的な計画を立てていく上でも大切な判断材料になっていくでしょう。マーケティングの一環として、ぜひ顧客分析について検討してはいかがでしょうか。
キャッシュレスサービス「Value Card」と「アララ キャッシュレス」は、モバイルオーダーと連携が可能なキャッシュレスサービスです。顧客の囲い込み・キャッシュフローの改善に効果的な独自Pay(ハウス電子マネー)を発行でき、他社よりも低い決済手数料率でサービスを利用できます。また、ポイントやデジタルギフト、各種販促や分析機能など、再来店施策に必要な機能も標準装備しています。
顧客分析を始めたい方は、ぜひ一度ご相談ください。