マーケティングDXとは?成功事例や進め方、成果を上げるポイントを解説!
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、マーケティング分野をはじめ、さまざまな分野で広がりを見せています。本記事では、マーケティングDXの概要、成功事例や進め方、マーケティングDXの効果を最大に発揮するためのポイントをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.マーケティングDXとは?定義について
- 2.マーケティングDXの成功事例4選
- 2.1.事例①JTB:観光アプリのデータを分析、新ビジネス参入へ
- 2.2.事例②ディノスコーポレーション:紙のカタログにQRコードを設置
- 2.3.事例③コカ・コーラ:自販機とモバイルアプリの連動
- 2.4.事例④U.S.M.H:オフラインとオンラインを融合させた顧客体験の提供
- 3.マーケティングDXを進めるメリット
- 3.1.生産性向上、業務効率化が期待できる
- 3.2.PDCAサイクルを回せる
- 3.3.データに基づいた判断ができる
- 3.4.新しいサービス・ビジネスモデルを構築できる
- 3.5.マーケティング活動の自動化が進められる
- 3.6.O2Oマーケティングが可能になる
- 4.マーケティングDXの現状や課題
- 4.1.課題①人材不足
- 4.2.課題②新システム導入によって業務が複雑化してしまう
- 4.3.課題③業界における構造の固定化
- 5.マーケティングDXの始め方・進め方
- 5.1.手順①将来の外部環境を整理し、ゴールを設定する
- 5.2.手順②ゴールまでのプロセスを計画する
- 5.3.手順③必要な施策を考える
- 6.マーケティングDXの効果を最大に発揮するためのポイント
- 7.店舗の販促課題を解決するために欠かせないデータ活用
- 8.デジタル技術を活用してマーケティングDXを成功させましょう
マーケティングDXとは?定義について
マーケティングDXの「DX」とは、「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、日本語に訳すと「デジタルによる変革」という意味です。
IT専門調査会社であるIDC Japanでは、DXを次のように定義しています。
“企業が外部エコシステム(顧客、市場)の破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネス・モデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること“
このDXに「マーケティング」という言葉を加えた「マーケティングDX」とは、市場調査や広告宣伝、新規顧客開拓、商品開発などのマーケティング業務にITツールやAIといったデジタルテクノロジーを導入し、業務変革を起こすことを指します。
マーケティングDXとデジタルマーケティングの違いは?
マーケティングDXと似ている言葉に「デジタルマーケティング」があります。両者の違いはどのようなところにあるのでしょうか。
「デジタルマーケティング」とは、Webサイトやアプリ、SNS、メール、モバイルアプリなどのデジタルメディアやデジタルテクノロジーを活用したマーケティング手法のことをいいます。一方、「マーケティングDX」はデジタルテクノロジーを使って業務変革を起こすことを意味します。つまり、デジタルマーケティングはあくまでもマーケティング手法のひとつであり、マーケティングDXのように業務変革を目的としていない点が大きな違いです。
マーケティングDXの重要性とは
日本でDXが注目されるきっかけとなったのは、2018年に経済産業省が発表した「DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開」です。このレポートにおいて、今後日本企業がDXの取り組みを十分に行わなかった場合、2025年には年間最大12兆円もの経済損失が生じる可能性があると警鐘を鳴らしました。経済損失の要因として、企業のデジタル化の遅れにより、外部環境(※1)の変化に対し、内部環境(※2)が適応できなくなるためだと考えられています。
※1:企業のコントロール外にある社会や経済などのマクロ的な環境と、業界の動向、同業他社の動きや自社の周囲の情報などのミクロ的な環境
※2:商品力や生産力といった自社がコントロールできる経営資源などを含む自社の状況
外部環境の変化は、今後ますます加速すると推測されます。外部環境の変化に適応するためには、「マーケティングDX」が重要となってくるのです。
マーケティングDXがもたらす変革
マーケティングDXによって期待できることとして、「顧客体験変革」「システム変革」「人材変革」「組織・業務変革」の4つがあります。
中でも特に期待されるのが「顧客体験変革」です。顧客体験とは、顧客やユーザーが商品・サービスに興味をもつ段階から購入・利用するまでの一連の体験のことをいいます。ここで重要なのは、あらゆる段階で顧客の満足度を上げ、顧客のロイヤルティ(忠誠度)を高めることです。モバイルアプリやAIなどのデジタルツールを活用することでより良いサービスを顧客に提供し、企業側は顧客情報のデータを得ることで、さらに優れた顧客体験を実現させることができます。
マーケティングDXの成功事例4選
日本企業で、マーケティングDXに成功している事例をご紹介します。
事例①JTB:観光アプリのデータを分析、新ビジネス参入へ
旅行会社大手のJTBは、AIチャットボットを活用したアプリ「JAPAN Trip Navigator」でマーケティングDXに成功しています。「JAPAN Trip Navigator」は、訪日外国人観光客向けにAIチャットボットが英語で観光情報や問い合わせに対応するスマートフォンアプリです。JTBが提供する訪日客向け旅行サイト「JAPANiCAN.com」と連携し、宿泊施設を予約することもできます。今後はアプリで取得した観光客の行動データや嗜好データを活用・分析し、自治体や企業向けにコンサルティング事業に参入する予定もあるそうです。
参照:株式会社ナビタイムジャパン 2019年2月6日発表「日本美食との連携により訪日外国人向けレストランオンライン予約サービスを開始~訪日外国人旅行者向け観光支援アプリケーション「JAPAN Trip Navigator」、第3弾リニューアル~」
事例②ディノスコーポレーション:紙のカタログにQRコードを設置
通信販売事業を展開するディノスコーポレーションは、紙のカタログに設置したQRコードをスマートフォンでスキャンすると、商品の現在の価格や在庫の有無などの情報を消費者が確認できる仕組みを導入しています。この仕組みを導入することにより、消費者に新たな買い物体験を提供でき、企業側はだれが・いつ・どのような商品を見たのか「オフラインのログ」の取得が可能となったそうです。
参照:デジタル化による顧客体験向上がカギ。ディノス・セシール、LOHACOが実践するDX事例【ECデジマ談義 #5 セミナーレポート・後編】
事例③コカ・コーラ:自販機とモバイルアプリの連動
コカ・コーラが提供する、モバイルアプリ「Coke On」もマーケティングDXの成功事例として知られています。「Coke On」は、コカ・コーラの公式アプリで、Coke On対応自動販売機と接続してドリンクを購入するとスタンプがたまり、そのスタンプを15個集めると1本無料で交換できるという仕組みです。このアプリにより、「自動販売機でもスタンプが貯まり無料特典をもらえる」という顧客体験の変革を実現し、リピーターの増加、売り上げアップだけでなく、効率的なサンプリング、アプリでのデータ収集、データをもとにした顧客の好みにあうコンテンツやクーポンの配信などを展開しています。
参照:日本コカ・コーラ株式会社 2022年9月16日発表「Coke ON」アプリ史上最速、1年で1000万ダウンロード増加 コカ・コーラ公式アプリ「Coke ON」が4,000万ダウンロード達成 4つのおトクな記念キャンペーンを2022年9月16日(金)より開催」
事例④U.S.M.H:オフラインとオンラインを融合させた顧客体験の提供
マルエツやマックスバリュ、カスミといったスーパーを展開するU.S.M.H(ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス)は、マーケティングDXの取り組みとしてスマホアプリ「Scan&Go」を導入し、経済産業省より「DX認定事業者」として認定されています。
このアプリはパーソナルレジアプリで、店内にある商品をスキャンすることで購入し、キャッシュレス決済ができるのが特徴です。また、商品の店舗受け取りや商品の宅配など、必要に応じて機能の追加・連携もできます。こうしたオフライン(リアル店舗)とオンライン(ECやアプリ)を融合させた顧客体験を提供しています。
参照:https://ignica.com/apps/about/
マーケティングDXを進めるメリット
マーケティングDXを進めると、どのようなメリットが得られるのでしょうか。ここではマーケティングDXを進めるメリットを解説していきます。
生産性向上、業務効率化が期待できる
マーケティングDXを進めることの大きなメリットが、生産性の向上と業務効率アップです。
マーケティング業務には膨大なデータの収集や処理があります。また、顧客への案内メールや顧客情報の管理なども大切な業務です。しかし、このような業務は単純な作業であるものの、時間や労力がかかります。ITツールを活用してデジタル化することで時間の短縮や人件費削減、コストカットにつながります。
具体的には、顧客への案内メールをマーケティングオートメーション(MA)ツールで自動化したり、顧客情報の管理はSFA(営業支援ツール)などのデータベースに置き換えたりすることで業務負担を軽減できます。したがって、これまでの無駄な業務を自動化することにより、より高度な施策に時間を費やすことができ、さらには生産性向上にもつながります。
PDCAサイクルを回せる
また、PDCA(Plan/計画、Do/実行、Check/評価、Act/改善)サイクルを早く回すことで、ビジネスチャンスが広がります。業務は実行すれば終わりではなく、PDCAサイクルを回して積み重ねることで、新たな課題やチャンス、戦略を立てることができ、確実に改善して次につなげていくことができるためです。
マーケティングDXを進めることでデータ処理のデジタル化によって業務時間が短縮でき、今まで費やしていた時間を分析や施策立案に使えます。これにより、PDCAサイクルを早く回すことができるのも、マーケティングDXのメリットです。
データに基づいた判断ができる
マーケティングDXの推進により、定量的データに基づいた判断ができるようになることもメリットといえます。マーケティング業界は、めまぐるしい変化にすぐさま対応できるかが問われます。その時に必要となるのが素早い判断力です。マーケティングDXでは、蓄積したデータを活用し、根拠に基づいた判断ができます。
新しいサービス・ビジネスモデルを構築できる
さらに、マーケティングDXの推進によって、新しいサービスやビジネスモデルを構築できるようになります。PDCAサイクルを高速で回すことで市場や顧客ニーズの変化にも早急に対応でき、新たなサービスやビジネスモデルの構築につながるのです。また、新たなサービスやビジネスモデルを構築する過程で今まで気づかなかった課題やアイデアのヒントとなるものが見つかる可能性もあり、大きなビジネスチャンスとなることもあるでしょう。
マーケティング活動の自動化が進められる
顧客データの収集や分析、新規顧客の開拓などマーケティング活動を自動化できることは、マーケティングDXを進めることの大きなメリットです。
たとえば、 MAツールを活用しデータ収集からデータ分析までをAIに学習させることによって自社商品にどのような顧客がいるのか、購買意欲や検討レベルはどのくらいか、どうすれば購買意欲が上がるかなど、データを可視化・判別できます。また、自動化することにより時間の短縮や改善点の発見、PDCAサイクルの高速化などにもつながります。
O2Oマーケティングが可能になる
マーケティングDXの促進により、「O2Oマーケティング」が可能です。O2O(Online to Offline)マーケティングとは、オウンドメディアやWeb広告、アプリなどのオンラインの場から、リアル店舗などへのオフラインの場へユーザーを誘導し、集客するマーケティングのことを指します。なお、反対にリアル店舗からオンラインへ誘導し、集客することもO2Oマーケティングといいます。
O2Oマーケティングの具体例としては、次のようなものがあります。
- WebサイトやSNS、アプリでクーポンを発行する
- Web広告でお店のセール情報やお得情報を配信する
- SNSで期間限定商品やおすすめ商品、特別価格を表示する
- アプリで商品を予約し、リアル店舗で受け取る
- リアル店舗で商品を選び、Webサイトで購入する
こうしたO2Oマーケティングにより、今までとは違った客層を集めることができます。
マーケティングDXの現状や課題
マーケティングDXは、業務変革を起こすことが本質です。この業務変革には、これまで行なっていた業務のやり方や根強く残っている風習や文化などを変える必要があり、決して簡単なことではありません。ここでは、マーケティングDXの現状とともに、進めていく上で直面する課題について説明していきましょう。
課題①人材不足
多くの企業でマーケティングDXの推進がうまくいかない原因といわれているのが人材不足です。なかでもどのような人材が不足しているのかというと、IT技術・スキルを持った人材、マーケティング知識や分析力のある人材が不足しています。また、業務変革を起こすにはマーケティング自体の本質を理解する力が必要となります。
そのため、多様なスキルや幅広い資質を持つ人材の確保、そのような人材の育成強化が必要不可欠となります。
課題②新システム導入によって業務が複雑化してしまう
マーケティングDXを推進することにより、業務の効率化が図れる一方、新システム導入によって業務が複雑化してしまう恐れもあります。たとえば、これまで使っていたシステムと互換性のないシステムや紐付けできないITツールを導入してしまった場合には、かえって業務が増えてしまい、効率化どころか社員の負担が増えてしまいます。
そうならないためにも、新システムを導入する際には既存のシステムと互換性があるもの、紐付けできるITツールを選択することが大切です。また、自動変換機能を組み込むなどの対策も考えておく必要があります。
課題③業界における構造の固定化
業界自体の構造の固定化も、マーケティングDXの推進の課題のひとつです。たとえば、メーカーと小売店の取引関係、広告主と代理店との関係性といった古くから踏襲されている業界構造は簡単に変わりません。マーケティングDXの推進するには、マーケティングDXを推進する根拠と、過去の成功体験から脱却し、やり方を変える強い意志が必要となります。
マーケティングDXの始め方・進め方
マーケティングDXをいざ始めようとしても、何から手をつけたらいいのか、どのようにしたらよいのかわからないという経営者も多いことでしょう。ここでは順を追って、マーケティングDXの進め方をご紹介します。
手順①将来の外部環境を整理し、ゴールを設定する
まずは、5年後、10年後の外部環境がどのように変化しているかを整理します。このとき活用するのはPEST分析です。4つの要素(政治:Politics、経済:Economy、社会:Society、技術:Technology)をもとに、将来の外部環境がどのように変化しているかを整理しましょう。
将来の外部環境を整理したら、役員や主要な社員全員でイメージの共有を行います。その後、顧客視点で自社のあるべき姿であるゴールを設定します。
手順②ゴールまでのプロセスを計画する
次に、現在から10年後のゴールまでのプロセスを計画します。具体的には、各部門で既存事業の売り上げの推移の予測・目標を作成し、新規事業に期待する売り上げの推移も整理してみましょう。ゴールまでのプロセスを計画することで、どのくらいのスピード感・規模感で事業転換を図るべきなのかが把握できます。
手順③必要な施策を考える
ゴールまでのプロセスを計画したら、現状を把握します。現状を把握するときにチェックすべきポイントとして、次のようなものがあります。
- ゴールに到達するために今すぐ変えなければいけないことは何か
- 現在のアセット(資源・財源・資産)のなかで10年後の新規事業に活用できそうなものは何か
- 転換が必要となった場合の方向性
これらのチェックポイントにより、現状を把握できれば今何をすべきかがわかります。ここからゴールまでのプロセス計画に必要な施策を考え、実行に移しましょう。
マーケティングDXの効果を最大に発揮するためのポイント
最後に、マーケティングDXの効果を最大に発揮するためのポイントを見ていきましょう。
ポイント①業務や組織を根本から見直す
マーケティングDXは、「業務変革を起こすこと」が目的です。これまでの業務のやり方や企業体質を変える必要があります。そのためには、今現在の業務プロセス、組織を全社で見直すことが大切です。見直す際のポイントは、部門ごとではなく、会社全体で見直すこと。また、マーケティングDXを導入するために、経営層がトップダウンで指示をすると良いでしょう。ちなみに マーケティングDXの調査データによると、マーケティングDXで成果を上げている企業の約7割が経営トップがコミットメントを行い、進めています。
ポイント②顧客の視点でマーケティング施策を見直す
マーケティングDXの視点のひとつに「顧客体験変革」があります。この顧客体験変革には、マーケティング施策の見直しが重要です。マーケティング施策の見直しでポイントとなるのが、顧客の視点で行うこと。企業側の業務効率化メリットも大切ですが、顧客側にもメリットがあるサービス開発・改善をするようにしましょう。 たとえば、ITツールを活用したオンライン営業に変えて、コロナ禍でも非対面の商談ができるようにします。クライアントにもメリットが生まれます。
ポイント③外部サポートを取り入れる
業務プロセスや組織の見直しや、マーケティング施策の見直しを社内だけで行おうとすると、見落としやスキル・経験不足、アイデア枯渇などの問題が生じる可能性があります。それらの問題を解決するには、外部人材を活用してサポートしてもらうのも一案です。他企業と提携する、副業人材を募集するなどにより、社内にはない経験やスキルを補うことができたり、外部からの視点による新たなアイデアを取り込むことで、マーケティングDXを成功させることができるでしょう。
店舗の販促課題を解決するために欠かせないデータ活用
売上につながるマーケティング施策を実行するためには顧客データの活用が欠かせません。自店舗を利用する顧客データを蓄積し、活用できるキャッシュレス決済手段が「独自Pay」です。「独自Pay」サービスである「Value Card」や「アララ キャッシュレス」は、自社専用の電子マネーの発行はもちろん、ポイントやデジタルギフト、販促、各種分析機能など、店舗のマーケティングに必要な機能を標準装備しています。
顧客属性や購入履歴のデータをもとにセグメントを分けてのキャンペーンや、会員ランク機能などを活用し顧客のステージに応じたキャンペーンを実施できます。このような機能は、マーケティングDXにもつながります。
デジタル技術を活用してマーケティングDXを成功させましょう
加速する外部環境に対応していくには、マーケティングDXを推進する必要があります。マーケティング業務にデジタル技術を導入し、変革を起こしましょう。
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